「部屋が汚い=悪」→「片付ける」というは間違っていたという話

一時期、ミニマリストやシンプリストの動画を見ることにハマっていた。

テレビなし、ソファなし、同種類Tシャツ3着を着回し、冷蔵庫は持たず都度スーパーへ、お気に入りの雑貨を飾ることもなく必要最低限に。節制の度合いは人それぞれだが、そのライフスタイルはモノに溢れたこの時代にとって斬新なようで、ある意味必然のようにも思え、興味深かった。


ところで話は変わるが昔の私は部屋がとんでもなく汚かった。あまりにも汚すぎてもう思い出したくもないので割愛するが…

それがある時突然「片付けしよう」という気持ちになり、ミニマリストの動画やゴミ屋敷の片付け動画などを見ながら1ヶ月位掛けて掃除をした。(この1ヶ月という長さが汚部屋の深刻さを物語っていると思っていただければ…)

ゴミを捨てまくったあと、不要な家具や雑貨類もどんどん捨てた。MDコンポ(既に壊れていた)、MDやCD、よくわからんキーホルダーやおもちゃ、人を駄目にするソファ、座椅子…雑誌や漫画も相当捨てた。オタクな私は同人誌もダンボール5箱分買取に出した。同人誌ありすぎだろとちょっと引いた。でも部屋が汚かった頃はそんなこと全く思いもしなかった…。

捨てられるものを全て捨ててから、部屋の中を見渡して「さて次はどうするか」と思案を巡らせた。私は極度の面倒くさがり屋のため、自分にとっての「面倒くさいこと」を挙げ、それが最も面倒くさくならないようにするにはどうしたらよいかということを考えて部屋のレイアウトを変更した。

例えば、布団。毎日上げ下げするのがまじで面倒くさい。畳んだ布団を部屋においておくのもなんかダサくて嫌。(ダサいってお前今まで上げ下げすらしていなかったくせに…)かといって押入れにしまうのも面倒くさいな…。でもベッドを置くと部屋のレイアウトの融通が利かないし掃除しづらそう…

色々考えた結果、結局私は布団生活をやめ高反発マットレスを買った。今は高反発マットレスに敷きパッドを敷いて寝床にしている。この手のマットレスは自立するため、自立させておけばマットレス下の湿気もなくなる。個人的には布団たたむよりは遥かに気が楽。敷きパッドは自立させたマットレスの上に干すみたいな形で掛けておく。

他にも「トイレのマットって洗うのテンション下がるし面倒…やめよう、床でいい」「掛け布団押し入れに収納するの面倒…W600くらいの収納スツール買ってそこにぶちこめば椅子と併用できるんじゃないか?」「服たたむの面倒だからハンガーラックを押入れ内に導入しよう」などなど…

こんな感じでちまちまと整理をして、今の部屋が出来上がった。

ここまで私の片付け奮闘記になってしまったが、このように部屋の掃除をして気づいたことがある。

先程同人誌の話をあげたが、まず部屋が汚いときはちょっとしたことが全然気にならないことに気づいた。床にチラシがぐちゃぐちゃに置いてあっても踏みつけながら生活していたし、ガラスに付いた謎の汚れと同居していた。同人誌も床抜けるんじゃないかというほどあったのに、その意識がまったくなかった。

これって仕事でもプライベートでも同じで、定期的に現状の整理をしないと、俯瞰して物事を見ることができなくなる。今の生活が私のノーマルだという意識が働き続け、次第にノーマルであるという意識すら薄れていき、考えること自体をやめる。汚い部屋で不自由なく生活していた私はまさにこの状態だった。今思えば不自由しかなかったはずなのに、当初の自分はそんなこと思いもしなかった。

そんなことを考えているうちに、今まで「部屋が汚いこと=悪いこと」だから「片付ける」だと思っていたんだが、これも実は本質としては違うのではないかとも思い始めた。

部屋が汚いこと自体が悪いことだったのではなくて、自分の現実に向き合わないまま時間を浪費していたことこそが「悪」だったのではないか。

「このままじゃいけない」と思い片っ端からゴミを捨てまくり、自分の思い描く生活スタイル実現のために様々な家具を楽天でお気に入り登録しまくった日々。部屋の整備が終わりようやくスタートラインだと思う反面、あれこれ思案したあの時間が人生で一番自分の生活と向き合っていたかもしれない…。

いや、実際部屋が汚いことは良いことではないんですけどね…(真顔)

仕事でメンタルやられていたことも汚部屋の原因ではありますが、そのままほったらかして過ごしたこと、反省しています。でも、あの考え抜いた日々のおかげで今でも部屋はかなり綺麗(当社比)に維持できている。


ミニマリストやシンプリストの方が語る「ていねいな暮らし」をあざ笑う人は、自分のスタンスや実現したい姿と真正面から向き合ったことがあるのだろうかと思ってしまう。

たとえまっさらな床に寝袋を転がして眠ろうが、大好きなぬいぐるみが溢れかえってたベッドで眠ろうが、自分の内面と向き合って実現したい姿を構想し、それを実行に移した結果なのだったらそれが一番良い結果なのでは?

部屋を片付けることは生き方を考えることっていうのはマジなんだな…と身にしみて感じたと同時に、現実の自分とこれからなりたい自分の答え合わせをしていくことの普遍的な大切さを感じたという話です。

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