見出し画像

ニコスケッチ#9 完成させるのは作者じゃない

★ 絵の完成ってなに?
★ 人に見てもらって絵は完成する

  • 描いた絵を誰にも見せない…ことへの戒めではありません。

  • 人の心に刺さる絵、見ていて飽きない絵…そんな絵づくりにつながる言葉です。


絵と図

組み立て家具やプラモデルには説明図、設計図があります。そのような図は決して間違いがあってはならないし誰が見ても等しく理解できるモノです。そして見る人によって解釈が違ってもいけません。図は説明するモノです。それに対して絵は作者が表現するモノです。

表現である絵は見る人によって感じ方、とらえ方、解釈が違ってきます。ひとつの解釈しかない説明図とは別モノなのです。
いろんなとらえ方ができる絵は見るたびに感じ方が違ったり見るたびに発見があったりして、そんな絵は見ていて飽きません。

心にうかぶ

・キャラの声
マンガがアニメになったとき、声優の声が違う…って感じたことありませんか? 雑誌やコミックスで読むマンガには音がありません。でもマンガに登場するキャラクターたちの声は読む人の頭の中に聞こえていますよね。その脳内の声とアニメの声が大きくズレたとき、違うなあ…と感じるのです。

・すべらない話
古舘伊知郎さんのすべらない話…
実況中継でアナウンサーの役目は、目の前にある状況を言葉にして伝えることです。そして事前に入念に下調べをして実況に臨むのだそうです。
ところがその調べたことが脳内に映像として立ち上がるとそれを言葉にせずにはいられなくなり、実況をほったらかしにして頭に浮かんだ想像の情景をしゃべってしまった…なんて大失敗のエピソードでした。

・お芝居の演出
役者が泣くシーンです。
正面を向いている役者が感極まっていよいよ涙を流すというところで、身体の向きをクルッと変えて観客に背を向けます。観客は役者の泣き顔は見えません。泣いている後ろ姿をみるのです。そして観客はその後ろ姿から役者の泣き顔を想像します。泣き顔は直接見えないけれど、頭の中で想像した泣き顔が観客の心に刺さるのです。

絵の完結

どうやら人は実際に見たモノより脳内に浮かんだモノ、想像して心に描いたモノ…に強く影響を受けるようです。

それが本当なら、見た人に何かを感じさせ想像を誘う作品は心に刺さるのでしょう。
絵から物語を感じ取る人もいるでしょう。過去の記憶、思い出がよみがえるのかも知れません。そして絵は、見た人の想像によって完結するのです。

…とは言っても、想像を誘う絵なんてどうやれば描けるのか、それがわかれば苦労しないのよね〜

記事を読んでいただいて嬉しいです。サポートしていただけたら、今後の活動に役立てたいと思います。