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人のフリみて我がフリ直そ。

「おいっ!ちょっと待てーぃぃ!!」

以前本屋さんに立ち寄った時に、
こう叫びたくなったことがある。

今年2月ごろだったかな。
いつものように本屋さんへ立ち寄った。
その日は見てみたい本があって、あるかどうかの確認をしに行った。
あるかどうかなんて、電話して聞くか、店員さんに直接在庫を聞いて確認したらええやんって思うでしょ。
違うんですよ。
分かるかなー。
あの、宝探し感?見つけた時のアハ体験(←古っ)。
あれを体感したいのです。

で、その日欲しかったのは絵本、あるいは児童書のコーナーにあろう本だったので、まっすぐそちらへ向かいました。

あるかなー。
どこにあるかなー。

って、ワクワクしながら本棚を探していると
ある箇所に年配の上品そうなご婦人が本を探しておられました。
ああ、お孫さんにプレゼントするのかなぁなんてふんわりした気持ちになった瞬間、ふと目に入ったもの。
なんと。
新品の本たちが並んでいる上に、
そのご婦人のカバンがドスンと置いてあるではないか。

「おいっ!ちょっと待てぃ!」
と、肩を掴みそうになった。

ちょっと。
おばちゃん。
それ、おばちゃんのカバンやんな?
その下にあるやつ、何か知ってる?
本やんな?しかも新品やんな?
おばちゃんのカバン、ピカピカの本にも負けへんぐらいキレイなん?
ちゃうやろ。
てか、そもそも本の上にカバン置くってそれどないよ?
本にも、これからそこにある本を手に取るお客さんにも失礼なんちゃうか?
その高そうなカバンの下に、わたしが探したかった本があるかも知れんのやけどっ!?
ほんま、せめてそれ下に置いてや。
本の神様にしかられるでっ!!

って、言いたかった。
こんなに荒い口調じゃなくとも。
ちょっとその下の本、見たいんですー、みたいに言えばよかった。
けど、言えなかった。
勇気がなかった。
というよりも、なんとも言えない嫌な気持ちに満たされて、言葉がうまく出そうになかった。
と同時に、なんかすごくさみしくなった。
どうしてかというと、このおばさんのように、
自分がしたことによってその先どうなるのか、
周りにどう作用するのか、そんな想像ができないんだろうなぁと。
あとは、自分さえ良ければ。
それが、たった一場面で見えてしまった。

多分こんな小さくてささいなことなんて、気にならない人の方が多いのだろう。
けど、なんか知らんけど目についてしまうねんなぁ。
別に正義の味方的な人になりたいわけじゃないし、
そんなつもり1ミリもない。
ただ、自分の子どもがやったら叱り飛ばす部類に入る。
そしてあの場所は本屋さん。
しかも児童書コーナー。
小さい子どもや親子連れもいるわけ。
そんな場所で、おばちゃんの背中、見られてるわけ。
無意識とはいえ、やったらあかんと思うわけ。
やっぱり。
わたしの常識では、あかんもんはあかんねん。

結局、探したかった本は見つからなかった。
もしかしたらあのおばちゃんのカバンの下にあったかもしれんなぁ。
なんともすっきりしないまま、その日は本を探すのをやめて店を出た。

そうや。
こんな言葉があったな。

"人のフリ見て我がフリ直せ"

昔の人って、なんでこんなうまいこと言うねん。
ほんまやな。
誰かは知らんけど、ステキな言葉をありがとう。 


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