身の毛がよだつとはこういうことか #6

マルの車に乗った。

落ち着けわたし

心の声とは裏腹に
どんどん声が荒くなる。

わたし「今までなにしてたの?」

携帯をいじり口を閉じたまま、首を左右に振って
とぼけた顔をするマル。

わたし「何してたのって聞いてんだよ!!」

   「家の前で見たって言う人がいるんだけど」

マル「ほぉ〜」

ほぉ〜じゃねーよ。

わたし「とりあえず家行こう」

ご飯食べに行く予定を全てキャンセルして
マルの家に向かった。


✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎ ✳︎


わたし「家上げたの?」
「なに?ヤったの?」

マル「上げてないしヤってない」

わたし「じゃあ何してたの?」

マル「あの子が部屋探してたから
   一緒に探してあげてた」

はい?なぜ?

わたし「8月19日って何してた?」

マル「は?8月19?」

わたし「お祭りの日だよ!!!」

マル「…。」

わたし「なんで一緒に行ったの?」

マル「だってニコリが仕事だったし   
   その子とちょうど休みが被ったから」

は?そのお祭りはわたしと行くって何年も前から話してたじゃん。

わたし「携帯見して」


携帯を見たら他愛もない会話のやりとりがあった。


マルとの友だちとの飲みの場にその子を誘うもの。

わたしと2人で見つけた星がキレイに観える
絶景スポットに誘うもの。
(最近また行きたいねって話してたじゃん)

女の子がマルの家にコンビニで買った
ご飯を届けたとみられるやり取り。
(だからわたしがあのゼリー食べたら怒ったんだ)

職場に芸能人の方が来た報告。
(その話わたしもリアルタイムで聞いたよね)

今日はありがとうございました
次はわたしが奢ります!!のLINE。
(次も会う仲なんだ)


頭がいたい。手が震える。
落ち着け、わたし。

浮気の証拠を見つけたときの
身の毛がよだつ感覚。
はじめて味わった。

意味わかんない。
感情が爆発してマルに物を投げつけた。

なに投げたっけ。覚えてないや、
近くにあったライターを投げたのは覚えてる。
マルのメガネの縁に当たった。

(ライターはまじでごめんなさい)

わたし「帰るわ…」


普通の人だったらここで別れていたのかな?

当時ちゃんと付き合ったのがマルだけだったわたしは、長く付き合って情もあったしマル以外考えていなかった。別れるという選択肢がなかった。

よく考えれば浮気を感じる瞬間は何個かあった。

オシャレに無頓着なのに
急に新しい服を買い始めた。

香水をつけ始めた。

ちょいちょい野平さんの話をするようになった。


バカバカしい。


つづく。


#過去の話 #恋愛 #元彼

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