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nicoの星宙予報 2021 射手座 ~ 知の深化と探索を手に、素早く失敗し素早く改善する

心理占星術家nicoによる一ヶ月の星読み「星宙予報」。
太陽が射手座に移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を心理占星術観点から分析し、時代と社会、個人の照応を紐解きます。
この時期、わたしたちが陥りやすい心理的不安、抱えやすい葛藤とは、どのようなものでしょうか。その傾向をお伝えします。

古代エジプト人は、恒星シリウスの位置測定と定期的に起こるナイル川の氾濫時期との関係から、一年が365日であることを発見し、これが太陽歴の起源と言われている(不完全な太陽暦の使用はもっと前に遡ることができる)。太陽のサイクルを使って世相や社会動向を考えるのは、長い歴史があるということだ。

 当たり前のことだが、太陽サイクルは季節とともにあり、よって人間、社会の営みも「盆暮れ正月」といった季節行事に準じて作られている面が多い。毎年、「暮れになると殺気立った犯罪が多くなるよねー」という常套句が出るように、似たような傾向が生じるのは不思議な話ではない。


 つまり、占星術が当たる当たない云々というより、サイクルというものを扱っていると、「あ、また似たような流れがやってきたぞ」となるわけだ。

そうなると蠍座期は、おおむね「思い通りにならない世界に対し、どう力の調整をしていくか」「生き残りをかけた戦略」がメインのテーマとなることから、企業の場合だと、買収や合併という動きも起こり易い(今年は、企業に対する敵対的買収の動きが活発化しているらしい)と言える。


 国の場合は、2021年の日本は衆議院選挙が行われた結果を受け、まあまあの勝利を収めた自民党内では派閥の動きが活発化し(安倍派が自民党最大派閥となった)、また惨敗の立憲民主党は党首と連合相手選びに四苦八苦したりと、どこもかしこも生き残りのために「どこと誰とどう手を組むか」というテーマで躍起になっている。

しかし、いつまでも内部の問題ばかりにかまけてもいられない。

内ばかり見て、国民を置き去りにしたのが立憲民主党の敗因だったわけだし、そろそろ本気でこれからの日本をどうしていくかを真面目に考えなければいけない、そういう時期=サイクルに入ってきた。


 そこから射手座期のイングレスチャートを見てみると、これはなかなか期待できる配置なのではないだろうか。2021年でもっともよい流れが期待できる配置となっている。

これは来年以降、2022年春分以降の動きに着実につながる予感なので、この一ヶ月は、心して準備、計画、戦略を立てたいところである。


 わざわざ「心して準備、計画、戦略を立てたいところ」と言ったのには、しっかりとした根拠がある。

強調されているハウスを見ると、3ハウス、9ハウス、12ハウスに目がいくのではないだろうか。ケーデントハウスと呼ばれるこれらのハウスは、物事を現実化させる(1ー4ー7ー10ハウス=アンギュラーハウス)ための準備の部屋と言われている。また、双子座の20度、牡羊座ポイントにある月も6ハウスを支配していることから、ケーデントハウスが非常に強調されたチャートだとわかる。

 そこで、準備のハウスから物事を現実化させるハウスへの流れを考えてみたい。9ハウスの準備→計画・戦略に対する努力の結果(10ハウス)と、12ハウスの準備→計画・戦略に対する努力の結果(1ハウス)へのつながりを見てみよう。

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 9ハウスの努力、12ハウスの努力とは、どのようなものだろうか。特に、射手座期における9ハウスは、とても重要な意味を持っていると考えられそうだ。

 ホロスコープの構造を前提にすれば、当たり前すぎることだけれど、アンギュラーハウス10ハウスを目指すための9ハウスの準備とは、まず、8ハウスからの華麗なる脱出を図らなければならない。

 つまり、8→9→10の流れをスムーズにつくることである。


 たとえば、皇族というしがらみ(=8ハウス)を切り捨てアメリカへと向かった(=9ハウス)眞子さまの選択や、先日、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋氏の会見での言葉を思い出す。


日本では、人々はいつも他人を邪魔しないようお互いに気遣っています。
日本で『はい』『いいえ』と答える形の質問があるとき、『はい』は必ずしも『はい』を意味しません。『いいえ』の可能性もあります。
アメリカでは自分のしたいようにできます。他人がどう感じるかも気にする必要がありません。


 真鍋氏は、このように日本における同調圧力についての違和感(=8ハウス)を示した。

そこにとどまるか、それとも真鍋氏のように「アメリカでは自分の研究のために好きなことができます」という世界を目指すのか。


 そのためには、まずは8ハウス——自分のあるべき姿に圧力をかけてくる環境——からの脱出を図らなければ、次の9ハウスに向かうことはできないのだが、これがなかなか難しい。

8ハウスには8ハウスなりの良さもある。皇室にとどまれば、その絶対的な「力」を利用することができるし、とにかく水のエレメントの“勝手知ったる”“なあなあの良さ”というのは気楽なものだったりする。

だが、もしそれがただ慣れ親しんでいるというだけで、もはや、そこに何の価値も見いだせなくなっていたとしたらどうだろう。ただただ、自分を疲弊させ、成長を阻むものだったらどうだろう。既存の組織、派閥、制度といった在り方にしがみついていたら、より良くなっていく可能性の機会は完全に奪われてしまう。


 蠍座期まで進んできたら、もう私たちは十分にわかっているはずなのだ。

 そろそろテコ入れすべき問題も見えてきた。ダメなものはダメだし、おかしいものはおかしい、そんな結果を手にしているはずだ(無免許運転を繰り返した木下都議のように)。

 なぜなら、誰の中にもーーどこに向かって進んでいけば、今よりもっと良い未来が描けるのかーーという「期待」「希望」「真実」といった射手座的感性があるからだ。

 住民税非課税世帯への10万円給付、エッセンシャルワーカーの給与引き上げなど。これらは、8ハウスで見えてきた問題に対する、9ハウス的な対応=未来の可能性、制度の見直しといえるだろう。

 こうして、個人/企業/国がそれぞれに、これまで自分を縛ってきたやり方を改善することになるが、その際、「素早く失敗し、素早く改善する」という失敗を楽しみ、許容するという発想が9ハウスには不可欠だ。結局、日本の政治も企業も、または個人も批判、クレームを怖れるあまり、この失敗を前提としたチャレンジがうまくいかなかった。

 ここからは今流行りのビジネス戦略のように、「知の深化=ここまで得た知識、経験をさらに深堀していく=8ハウス」とともに、「知の探索=未知の知識を追求する=9ハウス」の両輪で、MC=10ハウスを目指すことが必要になる。

 ここまでやってこられた自分の能力や力をさらに深堀し、確かな力への実感をしつつ、新しい知見を手にしていく。そういった両輪が、ここから先の道のりを確かなものにしてくれるだろう。


 イングレスチャートでは、9ハウスは最も強いハウスとなっている。9ハウスのカスプは蠍座火星。
 そこで、この射手座期は、物事を現実化させる10ハウスへ向かう準備としての9ハウス活動、そのための8ハウスからの脱出を目指し、これまでのやり方を深め=知の深化、新しい知識を身につけ=知の探索、「素早く失敗し、素早く改善する」をキーワードに取り組んでいけるといい。


 またもう一つ強調されている1ハウスへと向かうための準備、12ハウスとはどのようなものだろうか。それは脆弱性の理解と強化ということになる。

伝統占星術では6-12ハウスを病気の部屋と見ることがあり、またマンデン占星術では6-12ハウスを防衛力の部屋と読む。つまり、柔軟サイン=魚座の部屋である12ハウスは個人/企業/国の「隙」「脆弱性」が露になる場所であり、また「脅威インテリジェンス」=自分にとって脅威となる情報を検知し、それを蓄積、活用するということ、弱さゆえの知性ということだ。

 こうした弱さ、未解決な問題を解決しておくことができれば、ある意味「備えあれば憂いなし」、予測不可能な状況に対しても適切に対処できるようになるということだ(先日11/21にも東京都で大規模な防災訓練があった)。そういった準備を経て、私たちは1ハウスへと旅立つことができるようになる。


 9ハウス、12ハウス、いずれにせよ今月はインテリジェンスを身につけるということ。

 必要な知識や策を身につけることができれば、自信をもって次のステージへと進むことができるだろう。

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