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[再掲] 2019 山羊座の言葉 坂本龍一 ┃個人の痛みや喜びを超え、普遍的な理解への通路をつくる

占星術における12サインは、12か月の季節の移り変わりに照応し、その時期に感じやすい心のテーマがあります。心理占星術家nico (ニコ)が、古今東西の著名人の言葉から12サインそれぞれの象徴を見出し、心理的葛藤と成長を考察したエッセイ。

先日、71歳で逝去された音楽家・坂本龍一氏。その楽曲を再聴した際に、記憶に上がってきたのがこの記事でした。音楽活動にとどまらない表現世界を支えてきた思いや哲学を、氏の著作に残された言葉から探った2019年の記事を再掲します。R.I.P

カバー画像:KAB America - 投稿者自身による著作物


2019 山羊座の言葉


画像は新潮社より


表現というのは結局、他者が理解できる形、他者と共有できるような形でないと成立しないものです。だからどうしても、抽象化というか、共同化というか、そういう過程が必要になる。すると、個的な体験、痛みや喜びは抜け落ちていかざるを得ない。そこには絶対的な欠損感がある。でも、そういう限界と引き換えに、まったく別の国、別の世界の人が一緒に同じように理解できる何かへの通路ができる。言語も、音楽も、文化も、そういうものなんじゃないかと思います。

「音楽は自由にする」坂本龍一著より

 ※本記事は、2019年12月の再掲となります

 「今月の言葉 2019乙女座 カール・ラガーフェルド」でも紹介したが、占星術における地エレメントの象徴というのは、どうも誤解があるというか、決めつけが激しいというか、実社会で活躍している人たちの言葉を聞くと、『なんと占星術の象徴はちっぽけな世界しか表現できていないのだろう』と憤ることばかりだ。

 中でも、山羊座は、真面目で堅物、古い考えにとらわれコツコツ努力するのが得意な人、というように描かれることが多い。

 そこで思い出してほしい。山羊座は、射手座を経た後のサインであるということ。火エレメントと地エレメントは本来、補完関係にあるわけだから、射手座の性質を踏まえていないと、本当の意味で山羊座になれないこと。

 そう考えると、牡羊座から蟹座を経て、乙女座から地平線を通過し、天秤座、蠍座と成長を遂げた山羊座は、坂本龍一のように狭い世界にとどまることなく、意識を外へ外へと向け、より普遍的な意識に近づく努力をするサインであることがうかがえるだろう。実際、坂本龍一しかり、村上春樹しかり、世界を舞台に活躍している山羊座は多い。

 射手座以降のサインは社会化がテーマである。ここからは、否が応でも「個」を超え、より積極的に社会意識の共同化を目指していかなければいけない。けれど、それは「個」としての痛みをなくしてしまうことではない。「個」から一度デタッチすることで、社会とコミットする。それが蟹座の補完である山羊座の痛みであり、葛藤であり、そしてチャレンジでもある。

 「個」であることの心地よさは離れがたい。蟹座のマルセル・プルーストの描く物語(代表作「失われた時を求めて」)のように、ある懐かしさに浸り続けるというのは、なんとうっとりすることだろう。けれど、それは山羊座の目指すべき世界ではない。

『そういう限界と引き換えに』、

 山羊座は社会と共同化し、より大きな仕事に勤しむことになる。今度は「個」の痛みや喜びではなく、「社会」の痛みや喜びとともに生きることを目指すのである。

 山羊座の時期、私たち占星家はすぐに「現実」「仕事」「断捨離」「最適化」的なことを口にする。本当にそういうことが大事なのだろうか。

 山羊座に天体が集中する2020年。オリンピックイヤーを迎える私たち日本人は、

『まったく別の国、別の世界の人が一緒に同じように理解できる何かへの通路ができる』

ように、広い視野で社会との接点を作っていくといいかもしれない。というか、私たちの未来は、まずそこが問われているのかもしれない。

 ただただ自分たちの暮らしを保守し、小さく暮らすのではなく、社会とコミットしていくこと。私たちの持っている能力(牡牛座)や技術(乙女座)でどのように

『他者と共有できるような形』

を作っていけるのか、2020年のチャレンジの一つに加えてみてほしい。


坂本 龍一

1952年1月17日、東京生まれ。山羊座に太陽、水星を持つ。
3歳からピアノを、10歳から作曲を学ぶ。78年ソロデビュー、同年音楽グループ「YMO」を結成。その後、活動の場を世界に移し、映画「戦場のメリークリスマス」などで数々の賞を受賞する。2006年には、音楽の共有地創出を目指す新しい音楽レーベルを立ちあげた。


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