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VA-11 Hall-Aとことば DAY 11 「おい。そこのおっぱいバーテンダー」

昨日から引き続き、この日もジルの復活パートです。目の前の仕事が、立ち直れないほどの悲しみから救ってくれるということもあります。日常の容赦なさと、忘却の救済。年の瀬に向け忙しない12月、だからこそ一年を忘れられるように。

12月23日 金曜日

アルマ相手に、バーテンダーと客という立ち位置を交換するというVA-11 Hall-Aの中では大きめのギミックを用い、ジルが打ち明け話をして一段落つきます。普段はジルの視点で進行するゲームのため、ジルの立ち絵を見られる貴重な機会でもあります。それもあり、プレイした方なら忘れがたいシーンであることは間違いありません。ちなみに、この展開はDAY 4ですとり〜みんぐチャンに予言されていたりします。

12月16日 金曜日

このシーンはバーテンダーと客という関係だからできる話というもの自体を描いており、極めてVA-11 Hall-A的です。友人としてジルの話を聞くために、立ち位置の交換を提案するというのも、アルマがバーテンダーと客という役割の有用性を感じているからこそ。「おい。そこのおっぱいバーテンダー」は想定以上の重い話に困惑するアルマに、ジルがぶつけるセリフです。本作で最初の客であるドノヴァンを彷彿とさせるセリフでジルらしからぬ話し方をしているのは、意図的に客として振る舞っているからでしょう。友人として戸惑うアルマに、バーテンダーの役割を思い出させるために。一方で、この会話自体が「ただのバーテンダーとお客って関係かもしれないけど…」と、アルマへ思いを寄せるジルのセリフで終わるのも味わいがあります。

ここすき

原文は「Yo, Boobtender.」。「Boobtender」が「boob」と「bartender」のかばん語であることは一目瞭然。「Yo」が普段の、少なくとも仕事中のジルなら言わないほど気さくな呼びかけなので、敢えて異なる喋り方をしている点を拾って「おい。そこのおっぱいバーテンダー」となるわけですね。

本連載もVA-11 Hall-Aも折り返し地点を過ぎ、12月も半ばとなりました。年の瀬ともなれば酒の場も増えるというもの。やり残したことを年内にすませておきたい意思と、もうなにもかも投げ出して忘年会に備える気持ちが湧く頃合いです。自分はもう後者ですがクリスマスまでは励みたく思います。

VA-11 Hall-Aとことば Advent Calendar 2023 15日目

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