見出し画像

VA-11 Hall-Aとことば DAY 10 「どうしたのです…いつものようにバーテンダーの真似事はなさらないのですか?」

サイバーパンク・バーテンダー・アクションVA-11 Hall-Aのゲームオーバー条件は2つで、1. チャプター間での家賃の支払いに失敗して家を追い出される、2. 3回客の注文に応えることに失敗してボスに休めと言われる。短期的には2の条件に引っかからないようにすれば問題ありませんが、注文に応えることで得られるボーナスなしでは1の条件を超えられないため、とにかくバーテンダーとしての腕が肝心です。

12月22日 木曜日

ヴァージリオはスチームパンク博物館の学芸員でポエムブログを書いており意味不明な言葉を口走り難解な注文を繰り返す厄介な客です。初の失敗や、あるいはゲームオーバーがヴァージリオだったというプレイヤーも多いのではないでしょうか。この日も同様なのですが、前日の騒動で荒れたジルにたじろぐ姿が見られるのが一興です。

まあ、かなり風変わりな人物なのですが、そんなヴァージリオがゲームのターニングポイントだった前日の騒動の次に出てくる客というのもVA-11 Hall-Aの面白さ。この日は、続くセイとステラがジルと元カノの関係を、キムが仕事をして自由を得ようとしたジルの若い頃を彷彿とさせ、ジルが自分自身を探求する旅のはじまりです。ではヴァージリオの役割はなんなのか。それがこの台詞に象徴されています。つまりジルが選んだバーテンダーという生き方を肯定させるために、バーテンダーとしての腕試しの相手としてヴァージリオが抜擢されているのでしょう。これはバーテンダーとしての腕前を求められるゲーム全体のデザインとも噛み合っています。ちなみに、ヴァージリオが本当はどのような人物なのかは割りと面白いため、続きは君の目で確かめてくれ!

働けば自由になる

原文は「Aren't you... gonna do that weird bartending thing?」。訳す上でのポイントは「weird」の処理ですね。「weird」「odd」「strange」のニュアンスの差はよく出会う問題です。ここでは後ろの「bartending thing」とくっつけて「バーテンダーの真似事」とすることで、「真似事」という単語が持っているエセっぽさで、そのニュアンスを拾っているわけです。深い……

キムのように、学校を出て労働者の真似事をしてどうにか生きてきましたが、自分も学校にいたころよりも働いているときのほうが自分に自信があるタイプです。別に過去に戻りたいという気持ちもなく、いつも今が人生で一番楽しいという感じです。それは結構恵まれたことなのかもしれません。それはそれとして、できるだけ働かずに自由になりたいです……

VA-11 Hall-Aとことば Advent Calendar 2023 14日目

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?