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VA-11 Hall-Aとことば DAY 9 「歳を取ることは不幸じゃない。やりとげた証なの」

数多の人気キャラがいるVA-11 Hall-Aにおいて、主人公ジルが不動の圧倒的人気を得ているのは偏に主人公という立ち位置もありますが、この27歳ツインテールのバーテンダーにはプレイヤーが共感できる余地があまりに多いからでしょう。

12月21日 水曜日

これはVA-11 Hall-Aプレイヤーなら記憶に残るジルの名言のひとつでしょう。VA-11 Hall-Aプレイヤーも歳を取り、やがて死ぬので。この後、ドロシーも「その台詞をプリントしてシャツをつくるべきだね」と返しますし、この下りは後にドルフロでコラボした際にもドロシーによって繰り返されます。余談ですが、自分はVA-11 Hall-Aコラボをきっかけにドルフロを2年ほどプレイしました。

さて、このセリフはこの後に続くガビィとの対面でジルが放つセリフ「指の間から若さがこぼれ落ちていく怖さがわかる?」と対応関係にあります。

つるつるの壁にツメをたて死の底に落ちるまえになにかにすがろうとしている

本連載を通読している方なら、以前取り上げた「意味もなく歳を取っていくことへの焦りは?」も思い出すかもしれません。既プレイの方ならご存知の通り、これらはジルが自分自身がどのような人間かを顧みて、どう生きていくかを決断するゲーム終盤の展開へ繋がるテーマのひとつです。

原文は、「Getting old isn't a curse, it's an achievement.」。本連載で取り上げている中ではストレートな翻訳だと思いますが、「curse」の訳語として「不幸」を選択したのは恐らく前段でのドロシーとの会話での加齢の扱いを受けてのものでしょう。難しさはむしろ、これが作中でも名言扱いされている一節という点で、名言らしく仕立て上げないといけないというところでしょうか。名言っぽさというのは内容だけでなく、文章としての仕上がりも求められるので。結果は、日本語圏のVA-11 Hall-Aプレイヤーがどれだけこのセリフを擦り倒したかを見れば一目瞭然ですね。

小学生の頃、隣の席にオカルトマニアがいて占ってもらったら27歳でネコに引っ掻かれて死ぬとの結果が出たことがあります。以来、27歳になるまでは年齢を27から引いて残りの数字を気にする余生のような人生を過ごしてきました。いざ27歳になったところで死ぬわけもなく、ぼんやりと蛇足じみた日々を送っているわけですが、体調不良も増える今日このごろともなると「やりとげた証」という感じは年々しますね。

VA-11 Hall-Aとことば Advent Calendar 2023 13日目

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