母の形見、遺された愛猫行き先問題
父が倒れたその日、私と兄はあることが頭を過った。
実家には猫が1匹いるのだ。
この猫は母が生前可愛がっていた猫で、母亡き後は父が面倒を見ていた。
そんな猫が戸建ての実家に1匹取り残されているのだ。
私も兄も実家からすごく遠くに住んでいる訳ではないが、近くもない距離にいる。さらに賃貸で猫は飼えない。
猫の今後のことは後日考えるとし、とりあえず初日に兄へ猫のご飯と水だけ頼むと思わぬ返信がきた。
「家がやべえ」
はじめはなんのことか全くわからなかったが、画像が送られてきて初めて「やばさ」を認識することとなる。
テレビで見たことあるゴミ屋敷やん!!!
私と兄が少し実家に寄り付かなくなった途端、4ldkの戸建ては全ての部屋がこの状態でになっていた。
父と母がこだわって建てた注文住宅はゴミと化し、思い出をハンマーでぶっ壊された感覚に陥った。
さらに猫が生息するリビングに至っては大量に糞尿が床に落ちており異臭も放っていた。
廊下も人が殆ど通れず、父がどこに寝泊まりしていたかもわからないくらい、物が積み上げられていた。
ただ遺留品から父がここで生活していたことが分かりさらに戦慄が走る。
今後このゴミ屋敷から通帳などを見つけないといけないのか。そしてこの糞尿を掃除をしないといけないのか。
これから始まる相続と後処理に対し、諦めと不満が渦巻き、結果病室に横たわる父に不満を述べてしまったに至る。
遺された猫の救世主、みなしご救助隊
家の状況から一刻も早く猫を保護しないといけないと感じたが、預け先が全く持って心当たりがない。
行き先が決まるまでペットホテルという選択肢も考えたが、ペットホテルはどこもワクチンを接種していないと受け入れてくれないようだった。
元気だった頃の父より、遺された猫は定期的に通院していると話は聞いていたが、証明となるワクチン履歴書だけではなく、素味噌にどこに通院しているかなどの情報をあの部屋では見つけ出せるはずもなく、ペットホテルという選択肢はすぐに消えた。
次に出てきたのが、みなしご救助隊だった。
飼えなくなったペットを生涯飼育してくれる。今まさに求めていたものであった。
私はすぐに問い合わせ先に電話をすると優しそうな女性が出て、必要な物や制度を教えてくれた。
親身になって話を聞いてくれ、早急に対応してくれることとなった。
捕まらない猫vs実家に久々にきた娘
2日目という速さでボランティアの方が来てくださり、猫を捕まえることに。
しかし前述した通り実家はゴミ屋敷である。
かくれんぼの達人である猫は、私が父ではないとわかるや否や、すぐに姿を消してしまった。
積み上がるゴミの間に隠れたのか猫は全く見つからなくなってしまった。
ゴミと糞尿とゴキブリをかき分け探すも全く見つからず2時間。声も全く出さず猫の気配はない。
SASUKEもびっくりな立体ゴミがしんどすぎて笑いが止まらないまであった。
手動での確保は埒があかず、ボランティアの方の提案の元、捕獲機をセットし外で待つこと1時間、猫を捕獲することに成功した。
こうして母の愛した猫は実家を出て、多くの猫と暮らすことになった。
元々地域猫だった猫を拾った母。
その母が亡くなり、父が飼い、その父も亡くなる。
本来ならば次は私たち兄妹が飼うべきだと思う。それが「ペットを飼う」と言うことだと思う。けれど現実私たち兄妹は出来なかった。
読んだ中には不快に思われる方もいるかもしれません。
けれど「手離してしまった」事実をありのままで書かせて頂きました。ごめんなさい。
そして猫、飼えなくて本当にごめんなさい。
そして助けてくださったみなしご救助隊の方々には本当に頭が上がりません。
本当に本当にありがとうございました!
そして父
死ぬ前に家を掃除していって欲しかったです!
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