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二人の傘として生きられたなら

最終話は9月15日に終わり、新しいドラマが次々に始まっているというのにドラマ“竜の道”の深みから私はいまだ抜け出せないでいる。

まさに“竜の道”ロスに陥っているのだ。

“竜の道”は哀しい結末で幕を閉じた。

最終話。いや、それ以前の回から竜一の危なっかしい生き方にはヒヤヒヤしていた。

復讐を成し遂げるまでは、命を落とせないという熱意がひしひし伝わってくる。復讐の為には何でもする。

一視聴者としては、いつ命を落とすのではないかと崖っぷちに立たされているような感覚だった。“死なないで”と懇願するような気持ちで視聴していた。

だが、その不安は現実のものとなった。復讐を成し遂げ、出頭も心に決め、その前に兄妹で鍋を囲むという夢見た幸せを前にしながら。

このドラマの主題歌は、SEKAI NO OWARIの“umbrella”という曲だ。

TV視聴だと音楽が聴こえない私は、最終話放送後、TVerで最終話をもう一度視聴した。

初めて聴く音楽。

こんな素敵なサントラが流れていたのか。

ちなみにサントラは、村松崇継さんの曲なのだがこんなに切ない曲を作れるなんてどうなっているのだと驚くしかない。

随所随所に音楽が加わる事で、哀しみのシーンは言い表せない程の深みになり、気付いたら私は号泣していた。

サントラを乗せたこの“竜の道”を何度も見たくて繰り返し視聴していた。

音楽って本当に凄い。

そして“umbrella”は“竜の道”の世界観に見事にマッチしていた。

迷わず、MVを見た。

この“umbrella”は、“竜の道”の為に書き下ろされた曲なのだそうだが、“竜の道”を見つめる視点が鋭い。

“竜の道”の結末まで分かって書かれたのか定かではないが、結末を知っていたかにも思えるような歌詞だ。

復讐に燃えた竜一。復讐に命を懸けた竜一が、もし復讐を終えた時はどうなってしまうのだろう?と懸念した事がある。

竜一は竜二と美佐を守る傘だったのだ。

だから雨が上がったら自分は必要なくなる。

だからこそ、ラストで刺された竜一はそれを受け入れ、刺した少年(大野木の息子)の指紋を拭ったのだろう。

“umbrella”と“竜の道”。
これ程までにストーリーとリンクした歌詞はそうなかったと思う。

“竜の道”は“umbrella”の曲があって初めて完成されたと私には思える程だった。

ドラマが終わったあとも何度も“umbrella”を聴いている。

音楽を聴くと何年後に聴いてもその時、聴いていた情景などが思い出されると思う。

この“umbrella”を聴く度に、私はきっと言い表せない程の切ない感情が甦る事だろう。

自己犠牲とも言える生涯を送るしかなかった竜一の切ない表情を思い浮かべながら。

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