授業参観の思い出

中学生の頃だったか
学校の授業参観に父親が来たことがあった
後ろの方の席に母親と座っている

先生の講義の後に質問の時間があった
「質問のある人?」
次々と手を上げて質問する同級生たち
私も勇気を出して手を上げようとするが、今一歩のところで勇気が出ない

何となく頭の後ろの方に視線を感じる
父が見てるのだ

次こそは手を上げよう
思いとは裏腹に手を上げることは出来ない
そして質問の時間は終わった

車に乗せられて家に帰る道すがら、父は無言だった
明らかに不機嫌なのだ
でもそれについて怒りはしなかった

たぶん父も同じ性格だと認識していたからだろうか
それだけに子供には勇気を出して手を上げてほしかったに違いない

あれから半世紀近くが過ぎ、ついに父の年齢を超えてしまった
ちょっとの勇気を、今は出せているだろうか