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「音楽と言語は似ている」という話、よく聞くけどさ、どう似てるの?③

過去の項では、音声について、音声と表記のリンクについて、書いてきました。⇒「音楽と言語は似ている」という話、よく聞くけどさ、どう似てるの?② https://note.com/nickthewasabee/n/ned7de68f6814  

今回は、各論を少し深堀りしてみたいと思います。

各個人の感性による部分に踏み込んで行きますので、書くのに時間がかかりました。

いろんな意見が存在するようなきがして、一律に言えないよなあ…と思っていたのですが、しばらく考えて、ようやく割り切って「私はこう思うけどね」っていうのを書いていくことにしました。あしからず。

1.文字や文法を覚えると、「スゴイ文章」が書けるのか?

世の中には素晴らしい小説やWeb記事が溢れている。

そういう文章を見るたび思うのだが、「文字を知っている」「単語を知っている」「文法を【明示的・暗示的問わず】ある程度以上にわかっている」という要素は、面白い文章を書くためには、多分、必須だと思う。

しかし、それらを知っているだけで、面白い、楽しませる文章を書けるわけではないだろう。

文字や単語や文章や文法を使って、何かを「創作」するというのは、大変に奥深い。そしてやっかいな点は、これをやっちゃダメ、とかこれをしなければならない、というルールは無いことだ。かといって、好き勝手やるとよくわからないものが出来上がる。

音楽も同様に、コードの構成音やスケールなどを知っているのは大事なことだが、それだけでいい雰囲気を紡ぐのは難しい。

基本になるスケール・コード・音程を知っておくっていうのは、多分、必須のこと。

そのうえで、じぶんが「いい」と思うものをカタチにしていくことが音楽の「創作」だろう。

いい創作を行っていくにあたって、「いい」のアンテナを磨いていくことが必要になると思うのだが、そのためには多くの作品にふれて、その時の気持ちをよく観察する事が大事だと思う。

いいな、とおもった。⇒「なぜいいと思ったのだろう。」「こういう理由かな。」「なぜそう思ったんだろう。」「ちなみに作った人はどんな気持ちだったんだろう。」「こんな情景が思い浮かんだな。」等々、自分の気持をじっくり眺めて面白がって、自分のワールドを開拓していくのが私は好きだ。

創作するっていうのは、結局自分と向き合うことであって、それのありようも人によって異なるなぁと思う。例えば、岡本太郎は激しく自分にぶつかりながらギリギリの状況に追い込むことで「生きる」ことを感じられると主張する。でも、みんながみんな、岡本太郎のような強烈な哲学や人生観をもってクリエイトしているわけではないだろう。

2.演奏すること

2006年に放送されたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」。

その中の描写に、人間のカタチをした超絶能力を持つ宇宙人が、譜面を見ただけでギターを見事に弾きこなすというシーンがある。

しかし、このシーンには一つ解釈が必要だ。

実は紙に書かれているコードネームやメロディは音声を表す「メモ」に過ぎず、弾き手の解釈が大いに必要なのである。

このシーンを見たとき、「このキャラは、おそらく家で隠れてPOPSのギターリフを聴き込んでいたに違いない」と思ったものだ。

ジャズ場合、譜面に書いてあるのは限られた情報しか亡く、演奏の最良が大きい。言葉でいうなら「山」「2つ」「緑」「きれい」という情報から、これらの単語を紡いで、その場で文章を作るのがジャズの重要な要素である「アドリブ」だと言っていい。

アドリブを行うにあたっては、譜面やコードは台本のようなもので、覚えていて当たり前。覚えているから「演奏」できる。(私はなかなか覚えられず苦労している)

言語で伝えようとするとき、単語や文法が血肉化していないとパッと思考を語れないのと同様に、音楽も、まずは耳でメロディーやコード、スケールの「雰囲気」を覚えて、さらにそれを血肉化するというところからなんだとおもう。

2-2.演奏に「人」が出る


人というのは、興味があること、好きだと思うことにフォーカスするものだと思う。

同じ生活を送っている2人の人間がいるとして、2人に起こる体験が全く同じだったとしても、何を感じるのかは、それぞれ異なる。

例えば2人の人間AとBが秋葉原の町を歩いていて、Aは電気パーツに興味があり、Bはラノベに興味があるなら、Aは「お、このパーツあれに使えないかな」ということが目に入るだろうし、Bは「お、新刊がでたな」ということに興味が行くだろう。

千差万別な好みが、千差万別な人間を作り上げていくと行っていい。

演奏にも、それが反映されるんじゃないかなと思う。

好きなミュージシャンの音、リフ、神経質な感じ、丁寧な感じ、あらっぽい感じ、などが反映される。もちろん人によっては様々な表情を演じ分けることもできると思う。

ちょうど、同じ本を読んでいても興味を持つ部分が人によって異なる感じ、あるいは、人によって興味を持つ本自体が、全く異なるという感じではないだろうか。

人によって興味が異なる。この前提で、「自分はこれが良いと思う!」という思いを貫き通せる事が、音楽には大事な気がしている。

それぞれの「自分がこれが良い」こそがいろんなアートを作っていくし、それがあるから、音楽は面白い。

(続くかも)

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