AV男優沼に落ちた私

私はもう6年ある「推し」をおっかけている。
20代のころから少年隊にいれこみ(少年隊を知らない若い世代の方々のためにご説明すると、
少年隊は1980年代後半に活躍した3人組ジャニーズアイドルである。ダンスやアクロバットを得意とする。)
何事にも熱中してしまうタイプであるが、まさか50代になってこんなにはまるとは思ってもみなかった。

さて、この「推し」は誰なのか…舞台俳優か地下アイドルか…写真を見せても「韓国の俳優さん?」などど言われたりする。

私の「推し」はAV男優の鈴木一徹さんだ。
ええぶい…だんゆう??最近は表立って引かれることも少ないが、少なからず顔色が変わるのがわかる。

そう…私のはまった沼はAV男優沼だった。
最初は膨満女性むけアダルトサイトのバナーで一徹さんの画像を見たのがきっかけだった。

彼の代名詞とも言える美しい横顔。
この人はAV男優??AV男優といえば、日焼けしていて、チャラくて、私の一番苦手なタイプだ。一徹さんは色白で優しそうな表情、そしてどこにでもいる普通の男性にみえた。
そのサイトで流れていたメイキング映像の一徹さんの「話し方」にやられた。
「声フェチ」の私は男性の声に弱い。完全に私のZONEに入るのに声で、話し方が好感がもてる。いや、もう好みそのまんまだった。

言葉のチョイスが素敵な人なのだ。
業界だけでなく、一般にも知られるトップ男優にもかかわらず、謙虚で腰が低い。
相手を立てる言葉、傷つかない言葉選びが本当にうまい。

「この子を見に行こう!」
猪突猛進型の私は一徹さんを知ったその日に
イベントに申し込み、2週間後にはイベント会場にいた。トークライブという初めて体験するイベントで、イベント終了後に「お見送り」と称し、演者さんが通路まてでてきて、お客さんを送ってくれるのだ。

8月の熱い日だった。店内の冷房はマックスに効いている。真夏のライブハウスに温かい飲み物なんて置いてない。冷たい飲み物ばかり飲んで、極度の冷え性の私はかなり寒くなっていた。

お見送りが行われる狭い通路でお客さんと「ハイタッチ」をするのが恒例らしかった。
まだファンでもなかった私は、緊張もせず前の人に習ってハイタッチした。

「寒かったね~、大丈夫だった?」
初めて会った一徹さんはそう声をかけてくれた。

「こんなこと口にだす男性がいるんだ」…
私の手は、冷房と冷たい飲み物で冷えきってしまっていたらしい。
初対面の女性にこんなこと言う男性は私のまわりにはいない。今なら優しいとか気遣えるとか、別の言葉で表現できるが、そのときは
ただただ驚いていた。

そう…このときに私は、沼に落ちた。
あれから6年…休みやすい職場に転職した。グッズはすべて買い集め、地方都市だけでなく、海外にも遠征した。推しが撮影した場所、行った場所には必ず行って、同じポーズで写真を撮ったりもする。

自分の溢れでるエネルギーを表現したくてしたくて、でもその場所を探し出せない私。
恋愛がうまくいかなくて、好きな人に出会ったことがない私。

心の底の底に溜まっている叶えられないエネルギーを「推し活」に向けているのかもしれない。

この「推し活」のお話は現在進行形である。
書くネタは山ほどある。また、書いてみたい。





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