「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」
これは構成が絶妙でした。ある程度早い段階で犯人が明かされ、Who,How, Whyの順で真相が解き明かされていきます。
時系列の配置によって、予期せぬ未来が提示され、見る側の興味をその方向に誘導する演出もうまい。
で、肝心のトリックですが、素晴らしいと思いますが、はっきりってToo Muchでした。
ジェフリーディーヴァー的などんでん返しに次ぐどんでん返しって感じですが、大きなトリックが、どんでん返しのためのどんでん返しになっていて、その程度の目的でそこまでする必要ある??って感じ。
トリックっていうのは、それをやるための必然性とセットで素晴らしいものになると思うので、どうも釈然としません。
トリックを確認するためにもう一度見ましたが、トリックよりもむしろ、翻訳者たちが作品に対する解釈を語るシーンに旨味を感じました。
ここらかネタバレになります。
アレックスが本当の作者だと知らない翻訳者たちが、彼のことを若造だと見下している感じで、自信満々に自説を披露しますが、いやいや、。
お前、偉そうに作者の意図を語ってるけど、目の前のそいつが作者だぞって。
改めて、当のアレックスがどんな感じで受け答えをしているのかとか、彼の表情なんかを見るのがなかなか面白かった。
ほぼほぼドッキリ企画みたいなもんですね、コレは。
「作品というのは読者それぞれが勝手に解釈すれば良いのであって、作者の考えすら無視しても構わないのである」ってことをフランスのピエールバイヤールという人が書いていましたが(かなり意訳)そんな要素も感じつつ。。。
7.5
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