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【重要】説明・交渉のテクニック

『説明力を高めるにはどうすれば良いか?』
本記事では、そんな疑問に対して、私なりのコツをお伝えしていきたいと思います。

※ 本記事は一部有料としていますが、8割は無料で読めます。

『説明が分かり易い』ことは仕事を進めることをとても楽にします。
会議や交渉の場において、簡単に話が通る人を見ていると、『話が分かり易い』ことは絶対条件のように思います。

手前味噌にはなりますが、私は様々な場面で『説明が分かり易い』とお褒めの言葉を頂くことが多いです。

そこで、本記事では、私が意識していることを言語化し、私なりのコツと説明力の向上に必要な訓練についてお伝えします。

私の説明スタイルは、『自分で工夫したもの』と『書籍やYoutubeなどで見聞きしたもの』のMIXで、自己流な部分が混ざっていますが、興味があれば読んでみて下さい。

また、最後の章では、説明のテクニックとは少し違いますが、私が交渉の場で大事にしている考え方をご紹介しています。

業務上、様々な利害関係者と交渉することがありますが、勉強・実践してきたものの中で、私が特に大切だと感じたことをシェアしたいと思います。



0.テクニックより重要なこと

『説明・交渉のテクニック』というタイトルなのですが、推敲を重ねている間に、このことを冒頭に記載することにしました。

この後、テクニックを紹介していくのですが、それらよりも大事なことを最初に記載しておきます。

0-1.  分かり易い説明シナリオを考える

本記事ではテクニックを説明するのですが、
実際に説明力を高めるためには、『短時間で理解を得られる説明を考える』という反復訓練をするしかありません。

『短時間で理解してもらう』ためのシナリオ(説明順序)を熟慮することで、無駄がそぎ落とされ『分かり易い説明』になります。

この訓練を繰り返すことで、説明力が磨かれます。

私の場合、大事な打合せでは、説明資料の尺にもよりますが、シナリオ作りには、30分~1時間程度の時間を取ります。

このように『上達に近道はない』ということを認識したうえで、個別のテクニックをご覧になって頂ければと思います。

0-2.説明中に相手の理解度を確認する

心構えの問題ですが、相手(特にキーパーソン)に『自分の説明が通じているか』を気にしながら話します。

特にキーポイントとなる箇所の説明は、相手の目や、反応を見ながら、『通じていない』と感じたら、次のような補足をします。

①細かく説明しなおす
②前後の関係を改めて説明する
③例示する
④説明速度を落とす

相手から聞き返してくれる場合は、良いのですが、そうでない場合は、自分からもキャッチしにいく姿勢が大事です

1.はじめに目的を共有する

ベストな説明方法はTPOで変わってきますので、全てのケースで『この説明方法をしていればよい』という型はありません。

しかし、全てのケースで共通するのは、
『目的を達成するための説明をする』ことです。

目的は、大きくは以下の5つに分類できます。

  1. 情報共有

  2. 認識のズレの修正

  3. 承認を得る

  4. 意見照会

  5. 行動をしてもらう

会議の場では、目的を伝えてから説明をはじめると、相手はどの様な立場で話を聞けば良いのか分かり、聞き易くなります。

1-1.情報共有

情報を把握してもらうことが目的で、判断や承認を求めない場合です。
会議の話題のうち半分くらいが、これだと思います。
多くの場合、提示情報を関係者への共有する依頼とセットになります。(例:管理職会議での情報の課内共有など)

1-2.認識のズレの修正

誤った情報が伝わっている相手に、情報の訂正をすることが目的です。
いわゆる「火消し」です。
この場合は、言われるまでもなく、『〇〇について、誤解を与えてしまっているようですので、訂正をしに参りました』のような前振りが入るかと思います。

1-3.承認を得る

①稟議、決済の類と、②情報共有の場で承認をもらう、の2種類です。
①の場合、目的の説明不要ですが、②の場合は、その場で承認を得ることを冒頭に説明する必要があります。

1-4.意見照会

自分の考えに対して意見をもらいたいケースです。
例えば次のように、具体的に相談しましょう。

「〇〇について、**の点で悩んでおり、▲▲の視点からの意見が欲しい」

この時大事なのは、意見照会するポイントは1つか2つに絞ることです。
ポイントが多いとグダグダになることが多いです。

1-5.行動を促す

話を聞いた相手に促すアクションを明確にします。
例えば、次のように促しましょう。

「本件について、各部署で情報共有してほしい」
「本件について、〇〇迄に内部了解を取って頂きたい。その過程で課題が発生したら、すぐに相談してほしい。」

2.説明のテクニック(基本)

ここからは、具体のテクニックを書いていきます。
基本的なテクニックとして、私が必ずやっていることは以下の3つです。

①初めての相手には、目的、背景を丁寧に説明する
②説明の流れを最初に示す
③相手の相手の理解度に応じて説明を絞る

2-1.初めての相手には、目的、背景を丁寧に説明する

TPOにもよりますが、多くのケースでは、初めて話を聞く相手に対しては、目的や背景・経緯を丁寧に説明する方が良いです。
入口でつまずいて、疑念や誤解を持たれると、話しが進まない場合があるためです。最初が肝心です。

持ち時間が3分のような場合でも、初めて聞く話は、目的・背景はサラッと入れる方が良いケースが多いです。そして、時間は短くても絶対に早口にならないように意識しています。

なお、『丁寧に説明する』と『ダラダラ説明する』は違います。
目的・背景についても、要点を絞り、わかり易く説明することを意識しましょう。

2-2.説明の流れを最初に示す

私の場合、持ち時間が10分以上与えられた場合には、冒頭に以下の流れをザっと話して、具体の説明を始めることが多いです。
長めに話す場合は、流れを最初に話しておくと、どこに集中するべきかが分かるので聞く方も疲れにくいです。

(例)
 ①会議の趣旨
 ②経緯、目的
 ③説明内容
 ④スケジュール
 ⑤次回迄の役割分担と作業内容の確認

※ ③と④の間で、セッションを区切る場合もあります。

2-3.相手の予備知識に応じて説明を絞る

何度も打合せを重ねている相手であれば、先方が理解している内容の説明は割愛する方が良いです。

また、持ち時間によっても説明量は絞ります。
特に会議時間に制約がある場合は、1分から3分の短い時間で説明しなければならない場合もあります。

私は多くの場面で1分の説明を最初に考えます。持ち時間が長い場合は、1分の説明で概観を説明してから、各論を話します。


3.説明のテクニック(小技)

書籍やYoutubeなどで様々な説明のテクニックが紹介されていますが、その中で、私が特に有効だと思っているものをピックしてみました。

が、、、このあたりは小手先のテクニックなので、やってるうちに身に付きます。やはり大事なのは『どう説明したら分かり易いか』を考えることなのかな、と思います。

①全て説明しない (説明に強弱をつける)
②結論から話す (PREP法、SDS法など)
③細かい数字は説明しない
④比喩表現をつかう

3-1.全て説明しない

人は長い話を聞いていると、最初に聞いた内容を忘れていきます。
よって、短時間で説明を終える必要があります。
そのためには全体感、流れ、着目点、などを意識した説明をします。

本資料を準備したら1から10まで説明するようなことはせず、概要をA4×1枚にまとめたコントロールペーパーで説明し、必要に応じて厚い資料を参照します。

私の場合、基本的にコントロールペーパーで説明して、例示と質疑でのみ本資料は使うことが多いです。

資料も空白が少ないと読みにくい(=読みたくない)ので、箇条書きを基本に端的にまとめ、口頭で補足しながら話します。

私は、スペース多めのスカスカの資料が好みです。
(文字ビッシリの「のり弁資料」が好きな人もいる)

3-2.結論から話す

説明不要かと思いますが、重要です。
PREP法、SDS法でもおなじみです。

<PREP法>
  P (Point)
  R (Reason)
  E (Example)
  P (Point)
 結論 → 理由 → 例示 → 結論  の順に説明する方法

<SDS法>
  S (Summary)
  D (Details)
  S  (Summary)
  概要(結論)→ 詳細 → 概要(結論) の順に説明する方法

PREP法


3-3.細かい数字は説明しない

数字については約〇割のようなザックリした数字で説明した方が、大局が理解し易いのです。(異論は認めます。)
細かい数字が議論になるケースは別ですが、稀なケースです。

3-4.比喩表現を使う

「レモン10個分のビタミンC」のような、イメージが容易な表現で説明をすると、どんな人にも理解を得やすいです。
これは、経験を重ねていくとストックが増えます。


【番外編】その場しのぎ

以下の言い回しは、人によっては有効でした。

『ものすごく簡単に言うと、〇〇みたいなものです』
    +
『なんとなく、わかって頂けたでしょうか?』

これは、中田敦彦のYoutube大学で取り上げられていた、元マルチのトップセールスマンの書いた以下の書籍で説明されている手法です。

相手や例え方を間違えると、根掘り葉掘り聞かれるのですが、その場しのぎには使えるテクニックです。

ただし、『なんとなく分かってもらう』ことに意味はない場合には使えません。特に継続的な信頼関係の構築が必要な場合には、正確に相手に理解してもらい、その後のアクションに繋げてもらう必要があるので、ビジネスでは使うべきではないように思います。


4.交渉の場での心構え

ここから先は、説明のテクニックというより、交渉の場における心構えの話になります。

私はプロジェクトの立ち上げに関する調整の仕事をやっている時期がありました。多くのプロジェクトでは全ての関係者が等しく利益を享受するわけではなく、利益相反するような提案を通していく必要があります。

カウンターパートの中には、横柄な態度の人もいて、どうやって良好な関係を構築し、理解・協力を得られるかを日々考えていました。

説明が上手なだけでは、交渉が上手く進むとは限りません。

私の経験上も、心理学に基づくテクニック(返報性の原理、一貫性の原理、フットインザドア、バンドワゴン効果、等)は効果はそこそこありました。

しかし、自分の経験を思い返すと、そういった小手先のテクニックよりも、信頼関係を丁寧に築いていくことの方が大事だったように思います。

担当していたプロジェクトの一つは、引継ぎを受ける2年前に準備が始まった大型案件だったのですが、引き継いだ当初は問題だらけのプロジェクトでした。

現場及び設計部門と企画部門の間に深い溝があったり、外部関係者等との関係性も一部こじれていました。

その一方で、事業規模を考えると夢物語のようなスケジュールが引かれており、コケれば会社の経営に少なからぬ影響があることを私を含むごく一部の関係者のみが知っているという状況の中、同プロジェクトの主担当になり、実現に向けて帆走することになります。

そこから2年ほどで、絵空事だと感じたプロジェクトは、関係者の調整を終えることができました。

これは各関係者と何十回という数の交渉を重ねて辿り着いたもので、その経験の中で、信頼を得ていくための自分なりのやり方が、培われました。

以下は、私が様々なカウンターパートと話を進めていく中で、特に大事にしていた事をお伝えします。

これらはテクニックではありません。心の在り方です。

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