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ダイビングショップの選び方

先日、PADIのオープン・ウォーター・ダイバー・コース(OWD)を受講し、ライセンス(いわゆるCカード)を取得しました。

ライセンスを取得するためにはダイビングショップ(スクール)を選ぶのですが、今回私がライセンスを取得する中で2店舗見学し、ダイビングショップによって費用やサービス内容が全く異なっているのを感じました。また最終的に選んだショップスタッフのお話を聞くと、ダイビングショップはかなり玉石混淆で慎重に選んだ方が良いというのが分かり、今回はその知見をシェアします。

ダイビングは魅力的なだけではなく死と隣り合わせでもあり、信頼できるショップ選びの参考になれば幸いです。

なお、あくまで私の経験の範囲の話ですし、たった2つのダイビングショップしか知らないので、かなり偏りがある可能性は予めご了承ください。

また、ライセンス発行団体はPADI以外にもあるのですが、今回はライセンス発行団体の比較はせず、PADIライセンスを発行しているダイビングショップの比較のみです。

器材購入を勧めるか否かの違い ~3万円キャンペーンのはずが気づいたら15万円~

海が近い場所に引っ越したので、せっかくの機会にダイビングをしてみようとネットで調べてみると、「期間限定キャンペーン、ライセンス受講料3万円」という広告が目に入り、相場よくわからないけど3万ならいいかなと思い、話を聞きに行ってみることに。

ダイビングの素晴らしさや楽しさを力説するスタッフの話を聞きながら「熱心なスタッフだな、ここで受講しようかな」と思っていると、次第に話は器材の話に移り、「これらの軽器材(シュノーケルやマスクなど)の購入は必須となっています」「うちは安全第一にしているので、緊急事態用のグッズも購入必須です」「コロナ禍で衛生面を気にしているので、ドライスーツのインナーを必須で購入してもらいます」など購入必須な器材がいくつも出てきて、しかもそれらは受講料自体には含まれないと。この時点で、3万円のつもりで来たのにどんどん費用が膨らむ。さらに、「ドライスーツも今のうちに買っておいたほうが絶対いいしお得」など、必須でない器材の押し売りも。そうして話を聞いているうちに、最終的に提示された金額は15万円に。もっと安いプランもあったのですが、高い方をめっちゃ勧められる。ちょっと想定以上に高くつくので「一旦持ち帰って考えさせてください」と聞くと、「いや〜このまま決めちゃいましょう!お願いしますよ!」と引き下がらず、この時点でちょっと「営業感」が前面に出すぎていて不信感マックス。器材の購入金額が営業成績に反映されるんですかね。

なんとかお店を出て知り合いのダイビング経験者に聞くと、案の定、「それは高すぎる」とのことでした。

その後他にもショップを調べてみると、「ウチは器材の押し売りはしません」と宣言しているショップが結構あり、器材の押し売りは割とありがちな事を認識。

実際私がライセンス取得したショップでは「器材を買っていただく必要は全くありません」と言っていましたし、一通り説明を受けた後も「ぜひ一度お家に帰ってゆっくり考えてください」と言ってくださり、個人的に信頼できそうと思いました。

また、ライセンス取得に際し全てレンタルでしたが全く支障はなかったので、ライセンス取得の段階で器材購入を勧めてくるショップは要注意です。

ただレンタルの場合、マスクのサイズを都度調整したり、ドライスーツのサイズパターンが少なくてちょっとブカブカあるいは窮屈だったりと、ちょっとだけ面倒なこともあります。ただこれも、最初はレンタルして体験してみて、自分で購入した方が良いと判断した時に買えば十分です。

その他の値段の違い ~都市型ショップと現地型ショップ~

PADIのサイトのPRICEという項目に参考価格があるので紹介しますと、「都市型」と呼ばれるショップでは6~7万円、「現地型」と呼ばれるショップでは3~7万円が相場のようです。私が調べた肌感でも、合っているように感じます。というか、これに合わせるように各ショップが価格設定してそうですね。

都市型と現地型の大きな違いは、「自社プールを持っているか」が大きいのではないでしょうか。

ライセンス取得の過程では知識開発(学科講習)・限定水域講習(プール/浅瀬)・海洋実習の3つのステップがあるのですが、都市型の場合、プール講習を自社プールで行うことができるので、仕事帰りにショップに行き、そのショップに隣接しているプールで講習を受けることが簡単にできます。また、学科講習も平日の夜に対面で講義してくれたりします。資本のある大手が都市型ショップに多いと思います。施設や人件費に投資している分、費用が高めになっています。

一方の現地型の場合、自前のプールを持っておらず、潜水会社が所有しているプールなど、他社が所有しているプールを一時的に借りて使うケースがあり、その場合、ショップに集合してから車でプールまで移動し、またプールも予約時間があるのであんまりゆっくりはできないデメリットがあります。あるいはプールは使わず最初から海の浅瀬で講習する場所もあるようですが、慣れないうちは波がない状態が良いとは思いました。また学科講習も特に対面での講義はなく、全てPADIが用意するe-ラーニングで完結など。

ちなみに私は住んでいる場所が海に近く、現地型も都市型も両方あったのですが、私が訪ねた都市型ショップの方では先の「器材押し売り」の件があったので、なるべく長い関係性を築けそうな小さなお店の方が性に合ってそうと思い、個人的に信頼できそうな現地型ショップを選びました。費用は、全器材のレンタル含めて全部込みで4万ほどでした。

指導者技術の違い~ダイビングショップのPADI公認ランクと、ライセンス所持者で200本潜っても基礎的な泳ぎ方を知らない人の話~

ダイビングを楽しむためには、技術がめちゃくちゃ大切です。技術がないと、ラクに泳げなくて、呼吸が苦しくなり、疲れてしまって楽しく泳げないです。例えば呼吸の仕方や水中での姿勢(およびその姿勢を維持するための重りのバランシング)によって、泳げるスピードや酸素の消費量、体力の消耗具合が全然違います。(海洋実習で疲れすぎて吐いてしまったり、日を改める必要がある方も少なからずいるようです)

そして、ライセンス受講者に対してどんな教育をしているかを含めて、PADIのライセンスを付与するダイビングショップにはPADIが定めるランクがあるのをご存知でしょうか。

このランクは毎年更新されるもので、教育・器材・体験の3要素をどれだけ満足に提供できているかの指標となるものです。

その指標に基づいてダイビングショップは大きく分けると5スター・ダイブセンターと、それ以外のダイブセンターがあります。

5スター・ダイブセンターとは、PADIダイブセンターとしての条件をすべて満たし、なおかつダイビング教育、器材、体験、環境への自覚の4分野を提供することに関して、とくに優れているダイブセンターに毎年授与されるメンバー資格です。

5スター・ダイブセンターは以下の条件を満たしているショップです。

「教育」、「地域活動への参加」、「環境保護活動」の3分野において、PADIから表彰を受けています。
安全なリクリエーション・ダイビングとスノーケリングを発展させるために、その地域社会で積極的に活動しています。
5スター・ダイブセンターはPADIの教育規準を守るだけでなく、それぞれのコースに適した教材を使って、理想的なPADIプログラムを実施しています。
お客様が技術と知識を伸ばせるよう定期的にPADIの継続教育プログラムが提供されています。

そして、そのダイブショップのランクによって、ライセンス取得後に発行されるカード(Cカード)の見た目も変わります。

また、5スター・インストラクター・ディベロップメント・センター(5スターIDセンター)として認定されているダイブショップは、5スター・ダイブセンターの規準を満たしているだけでなく、PADIインストラクターレベルのトレーニングを提供できる、唯一のダイブセンターです。

インストラクターを養成できるレベルのトレーニングを提供できるスタッフから教わる方が安心ですし、技術もしっかり身につくのではないかと思います。

私がライセンスを取得したショップは5スター・ダイブセンターと5スターIDセンターの両方で認定されているショップなのですが、一つ一つの体の動きやテクニックについて、なぜそれが大事なのかを丁寧に理論に基づいて説明してくれるため、理解しやすかったです(他のショップで教わってないので、かなり主観ですが)。そして、そこのショップに通っているお客さんの中には、他のショップでライセンスを取ってこれまで200本以上潜ってきたのに、ダイビングの基礎中の基礎である中性浮力が全くできず、こちらのショップに移ってイチから教わっている方がいました。
(中性浮力は、水中で一定の浮力を保ったままその場に静止できる技術で、これができないと浮力をコントロールできず、海底に沈んだり海面に急浮上してしまい、安定して泳ぐことができません)

というのも、ダイブショップやスタッフによって指導技術にかなり差があり、テキトーに教えて受講料を巻き上げるショップも少なからずあるようです。最低限のことができれば、ライセンスは取れますから。

ダイブショップはそんなに何箇所も使わないですし比較が難しいので、自分が受けた指導が上手いのかどうか判断するのは難しいので、先ほど説明したダイブショップのランクは、ショップ選びの一つの指標になると思います。

国内の各ショップがどのランクなのかはPADIのサイトで確認することができるので、ぜひチェックしましょう。それ以外にも「お客様の声」が掲載されてるショップもあるので、参考にしてください。

基本的には一つのダイブショップと長く付き合うので、雰囲気がマッチしてるかが大事

ダイビングライセンスを取得した後は、「旅行先でしかダイビングしない」という場合を除き、基本的にはライセンスを取得したダイブショップでファンダイビングを申し込むことが多いのではないでしょうか。

というのも、ダイビングをする時には基本的にはスタッフを含めた他のダイバーの方々と一緒に車などで海に移動し、一緒に潜り、一緒にお昼ご飯を食べ、一緒に帰ります。特に海に潜る時にはバディシステムというのがあり、その場に居合わせた他のダイバーとバディを組んで二人で一緒に行動します。何かあった時にはバディが持っている緊急用のレギュレータ(酸素を吸う器材)を使えるように、常に1~2メートルの距離を維持して行動する必要があり、自分勝手な行動は許されません。なので、バディとの信頼関係はとても大切です。

つまり、ダイビングは一人ではなく他のダイバーの方々と一緒に行動するので、そのショップとの親和性というか、雰囲気が好きかどうかはとても大事だと思います。移動中や昼食時の会話が楽しめそうか、など。

ダイブポイントにつくと、だいたいショップごとにまとまって行動するのですが、実際、ショップごとに色が出てるな〜と感じます。「このショップ、チャラいな〜」と感じたりw

まとめ ~ダイビングショップを選ぶ時には、事前に調べて比較しよう~

以上、私がライセンスを取得した時の体験談でした。

費用については、そのショップが持つ設備や人件費、立地などに依存する部分もあるので、相場を知った上で、後は自分のスタイルにあった場所を選んでください。ただ、器材を押し売りしてくるところは、注意した方が良いと思います。まずはレンタルで、自分が必要と感じたら買うことを勧めてくれるショップが良いと思います。

また、指導技術もショップによって異なるため、PADIのサイトのショップ検索機能を使って各ショップのランクを調べて、5スター・インストラクター・ディベロップメント・センターの認定があってインストラクターも教えることができるレベルかどうか、などを確認するのをお勧めします。

そして、いざライセンスを取ったりライセンス取得後にダイビングを楽しむ時にも、基本的には同じショップを使うことが多いと思うので、そのショップのスタッフや他のお客さんと雰囲気が合いそうかどうかも、実際に見学して確かめてみると良いと思います。

ダイビングはとても楽しいですが毎年命を落とす方もいる危険な一面もあるため、みなさんが安全に楽しめるように、参考になれば幸いです。


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