特許侵害の均等論において。意識的に除外されたか否かとは?数値クレームに関して考える
①均等論とは
特許侵害の直接侵害については、特許請求の範囲に記載の発明を文言通り侵害する文言侵害と、文言上は侵害には該当しないが、実質的に侵害行為に相当する均等侵害というものがある。
また、直接侵害でない間接侵害という類型もあるが、今回は触れない(101条)
被疑侵害品(イ号製品)が、特許請求の範囲の記載と完全に一致するわけではないが、実質的に一致する場合、均等論が当てはまる。
②均等論の5要件
イ号製品が特許請求の範囲に記載の発明と異なる部分があっても、以下の5要件を満たすと、均等論で直接侵害があったものと考えることができる。
均等論の5要件は以上になっている。弁理士試験勉強者のみならず、知財関係者であれば、よく知られた内容だと思う。
この(5)について、考える。
③数値範囲の減縮等は意識的な除外にあたるのか?
日々中間処理で、引例と差別化する目的として数値範囲の限定や減縮を行っているが、
この数値範囲の減縮などが意識的な除外にあたるか、と言われると、感覚的にはそうじゃないのではないかと思ってしまった。
というのも、数値範囲の減縮は先行の引例と範囲をずらす意味が強く、それ以外の範囲で発明の効果が達成できないものではないことが多い。(クレーム範囲を少し出たからといって、発明の効果が出ないわけではない)
具体的な例でも紹介したい。
この問題は〇が正解になっている。
疑問が残ったので調べてみたところ、このような記載がみつかった。
上記具体例でいうと、減縮・補正によって、成分Aが20~30%の部分は捨てられたと見ることが一般的なようである。
捨てられた部分は意図的に除外したものとするらしい。
このように、実際は意識的な除外にあたると考えられているようだ。
一方で、含有量がクレーム範囲より多少多くても同じような効果になることは、往々にしてある。
少なくとも、補正する側としてはクレーム範囲から意識的に除外しているつもりはなかったので意外に感じた
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