「次世代たちへ」四年 八重樫尋斗
終わりの笛がなった時、みんなはどんな気持ちだっただろうか。
11月6日、関東昇格を懸けて、臨んだ初戦。終了間際に粘りの追い上げを見せ、何とか引き分けに持ち込んだ。何度も練習を重ねてきたPK。その時は意外にも早く訪れたが、イメージ通りの展開ではあった。そして、我々FCN.は先陣を切って出ていった、峰松がバーを叩く。一方、相手チームは、それぞれがきっちりと四隅にボールを流し込み、結果は、3-3(PK4-5)一回戦敗退。FCN.初の関東大会はこうして、あっけなく終わった。
これにて、終戦。
同時に、私のサッカー人生も終わった。
終わりの笛がなった時、みんなはどんな気持ちだっただろうか。
私は、悔しさとか、怒りとか、そうゆう感情より
「やりきった」
そう強く感じた。これで終わったんだ。という安堵に似た気持ちだった。
自己紹介が遅れました。このページをご覧の皆様、日本大学サッカー部4年八重樫尋斗と申します。約1年半前に「告白」というタイトルでブログを書かせて頂きました。あれから、時は過ぎ、気がつけば、この部活を引退してしまいました。フォロワー3500人という大学スポーツの中でも群を抜く、このnoteで思いを綴れることに感謝いたします。懸命に書きますので、最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
また、このような場を設けてくれた、広報の後輩たち本当にありがとう。提出が遅くなってすまない。
さて、今回、私が書くのは以下3点です。
・やりきる
・みんなへ
・次世代たちへ
それでは参ります。
【やりきる】
日本大学サッカー部では、基本的にTOPチーム/社会人リーグ/Iリーグの3つのカテゴリーで活動しています。そのうち、先述のFCN.は東京都社会人リーグ1部に属し、関東昇格を懸け、年間を通して戦います。最終学年になった私は、このFCN.のキャプテンを務めさせて頂きました。昨年は、シーズン終盤で失速。昇格争いに敗れてしまいました。今年こそはと、更に、思いを強くし2021年のスタートを切りました。
迎えた今シーズン。紆余曲折ありながらも、何とか、昇格のための関東大会へ駒を進め、PK戦にまつわる話題がチラホラと交わされる頃。
正直、PKを蹴るのは、中学3年生以来。PKに持ち込まないのが一番だが、一発トーナメントで、こればかりは避けては通れない。しかしながら、PKは苦手である。キャプテンでありながら、蹴らないでおこうかな。と情けなく考えていたその時。グラウンドでヨネがヨネらしくこう言ってくれた。
「蹴らなきゃ後悔するぜ」
この一言が妙に刺さった。皿洗いしてる時、シャワーを浴びている時、いろんな瞬間に、この言葉を頭の中で繰り返した。キャプテンに立候補しておきながら、弱みから逃げようとしていないか。そして、こう決めた。どうなってもいいから蹴ろうと。「やりきる」と。結果がどうであれ、蹴らなかったらずっと後悔するだろうな。と私はそう思った。
そして、迎えたPKの時。少しの迷いもなく、足を振り抜くことができた。ヨネ、背中を押してくれて、本当にありがとう。
この「やりきる」。これは、結構難しい。大学サッカーを終えて、やりきったと胸を張って言える人はどれだけいるのだろうか。「やりきる」の基準は人それぞれでいい。PKを蹴る蹴らないは別にどっちでもいい。大事なのは、その選択が後悔しないかどうかだ。4年間過ごしていく中で、この選択を迫られる瞬間は幾度となくある。週明けの6周走、チーム筋トレのヒップスラスト、300シャトル、12走×2、続けると決めた読書。そういう一つ一つの瞬間に、後悔の無い選択を、自らの意志でしていくことが大事だ。
人は、誰しも弱みを持っている。サボりたくなることもある。日々を過ごしていく中で、時にやりきれないこともあるかもしれない。でも、その自分に気が付いて軌道修正をしていくこと。後悔の無い選択をコツコツ積み上げられた人が、終わってみたときに「やりきった」と、胸を張って言えるんじゃないかと思う。
【みんなへ】
個性の強い学年。まさにこの一言に尽きる。サッカーには長短のパスがあるように、人間関係にも人それぞれに、距離がある。同期全員と、親密になれるとは端から期待してなかったけれど、とはいえ、全員が一致団結して力を発揮する場面も少なかったように思う。
みんなには、一つ謝りたいことがある。それは、4年生の時に自分の都合を優先してしまったこと。社会人のキャプテンに、みんなの前で志したのに、日頃の発言と行動が伴っていない時期があったこと。本当に申し訳なかった。山内のnoteにもあったけど、信頼はあらゆる関係の基盤になる。そんな中でも、真正面から俺と向き合ってくれた人たち、一生忘れない。ありがとう。
最後まで、理解し合えない人もいたのは事実。だけど、裏を返せば、自分の意見を持っていて、なんとかして上に行きたいと思うゆえの衝突だったんだと思う。自分もまだまだ未熟で、
難しい言葉を使って、なった気になるときもある。でも、歳をとって、立場が変わって、振り返った時に、あん時はアツかったな、でいいと思う。みんな強烈な個性を持ってるから、それぞれの道で活躍することを心底願ってる。
PKを外した、峰松へ。バーの音が聞こえた時、「ああ、やっぱな」と思ったよ。最高だった。
今まで立て続けてきた、フラグを一気に回収したね。でもいいじゃん、やりきったんだ。
俺達は、あのときのことを一生ツマミにして語り合うことができるから。
【次世代たちへ】
これからの日大を背負うみんなに伝えたいこと。「やりきる」これは、本当に難しい。特に、ランニングとか呼吸も上がって、本当に追い込まれた時。
自分は、高校までランニングは皆無に等しかったから、やりきれるようになるまでに多少の時間がかかった。素走りなんて意味ない。その価値観で、真っ向から否定をした。いわゆる燻ってた。だけど、タイムに入れるか入れないかは別として「やりきらない」それは、違うと今ならはっきり言える。
やりきった経験、これは何にも代えがたい宝物になるから。それを覚えていてほしい。
最後に「人との関わり」を大事にしてほしい。みんなも知っている通り、世界は変わった。
従来のような「人との関わり」は随分、希薄になった。だから、俺たちが見て、感じてきた世界を映像にまとめてみた。音量を大にして、再生ボタンを押す前に一息ついてから、じっくり見てくれたら嬉しい。
アウェイの帰りに先輩にご飯をおごってもらう。先輩の話を聞いて、視野が広がる。自然と年上との接し方を学ぶ。試合中ミスをしても、応援団が声を枯らして励ましてくれるから、すぐ次のプレーに切り替えられる。納会での金さんの立ち居振る舞いを見て、少しずつ社会に出ていく自分の姿をイメージする。ケンカしたあいつも、肩を組んで応援することで許し合うことができる。
世界は変わった。
昔のやり方や、固定概念に囚われることなく、自分たちの手で、充実した大学サッカーを送れるよう、願っています。
最後までご覧頂きありがとうございました。
日本大学サッカー部に関わる全ての人に感謝申し上げます。引き続き、後輩たちへの熱い応援の程、宜しくお願い致します。
https://www.youtube.com/watch?v=poTZ1PGflrw
八重樫 尋斗(やえがし ひろと)
〈経歴〉
江釣子FC(岩手県)→JFAアカデミー福島U-15(静岡)→JFAアカデミー福島U-18(静岡)
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