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「本当は愛してやまない同期の皆へ」 四年 竹内 大敬

私は普段、同期と話をすることはない。話をするとしても、学年ミーティングで顔を合わせた時くらいである。
 体育会、寮生活、集団スポーツ、通常それらのイメージは外向的で、横の繋がりは強く、和気藹々としていると思う。
 しかし、私の4年間は違った。皆が仲良く飲みに行ったり、携帯ゲームをしたり、部屋で遊んでいたり、そのような輪の中に1度も入らなかった。
 表面的だろうがその輪の中に入って一緒に楽しんでいる方が学年の色に馴染めるのは分かっている。もちろん、入学当初は周りに合わせる努力をしていた。
 それが段々と苦痛になってきて、心の中で一線を引いて、ある程度距離を保ちながら仲間と接するようになった。気づいた時には、気を遣い、気を遣われるような関係になっていた。
 私は困惑していた。今までの自分では考えられないことが起こっているからである。私は元来、サッカーが好きという気持ちより、チームや仲間が大好きで、それらの為にプレーをする人間だった。
 そんな心境の私は1人の同期に常に支えられてきた。名前を出さなくても、本人には伝わると思うし、部員も分かるだろう。その仲間には、サッカーのこと、将来のこと、何もかも包み隠さずに話をしていた。
 彼とはとにかく楽しい時間を過ごした。練習では非常に厳しく、ボールを奪いに行った。一緒に試合に出た時は、誰よりも頼りにしてボールを渡し、彼を信じて走っていた。
 そんな彼に伝えたいことはただひとつ、感謝である。彼のおかげで4年間、このチームでプレーをすることが可能になったと言っても過言ではない。本当にありがとう。これからもそれぞれの道で頑張ろう。
 それから、同期の皆。感謝の前に、私は皆に謝るべきなのかもしれないと思っている。仲が良い学年と言われているこの代だが、私のような存在が邪魔をした機会があったと思う。本当に申し訳ない。
 ただ勘違いして欲しくないのは、嫌いや苦手といったネガティブな感情から溶け込まなかった訳ではないということ。楽しんでいる皆の姿を一歩引いて見てるだけで私は良かった。
 私は私なりの最大限の力を出しきって大学サッカーを終えた。皆も皆なりの全力でやりきって終えた。
 それでもやっぱり、同期の皆と笑って、泣いて、抱き合って引退したかったかな。
 この文章を書いている今、同期の顔が浮かんでいる。振り返ると、本当に皆、いい人間。皆、頑張ってた。皆、よく踏ん張った。
 改めてこの同期を想うと感謝しているし、大好きだ。本当にありがとう。

 後輩へ。
 決して諦めないこと。自分を信じ、成長を楽しむこと。
 私がキャプテンマークを巻いて、公式戦に出ることなんて誰が予想できたか。自分でもこんな経験をする時が来るとは思ってもいなかった。
 3年生の時の今頃は、Cチーム。
 2年生の時の今頃は、手術前、怪我人。
 1年生の時の今頃は、手術後Cチーム。
 それでも予想外のことは自分で起こせる。   
 4年間、常に頑張り続けろ、とは言えない。それが出来る選手はいない。どうしても結果が出ない時期、気持ちが向かない時期、そういう時は必ずある。
 努力をしなければならない時間も必ずある。ただ、努力は続けないこと。というより、努力はなかなか続かないと思う。最初は意識的に努力していたことが、やがて習慣となり、気付けば夢中になって取り組んでいる。自分は努力しているつもりは全くないけど、周りからすると努力しているかのように
見える。それくらい部活生活を全力でやりきって。
 将来有望な選手たちばかり。プロになる人も出てくるでしょう。大学で試合に出たいと思ってプレーする選手もいると思う。応援しています。頑張って下さい。

最後に、家族へ。
 私がサッカーをする1番の原動力。そしていつも応援してくれてありがとう。最後の最後に自分がプレーする姿を観てもらえて、本当に嬉しかった。そして、それを観て喜んでくれてありがとう。
 怪我をした時、試合に出られない時、どんなに心の支えになってくれたか。どれだけ挫けそうになっても、絶対に諦めない強さを与えてくれたか。
 家族からの応援は、いつも私に実力以上の力をもたらしてくれた。本当にありがとう。
 これからは私が最高の恩返しをしたい。

・竹内 大敬(たけうち まさのり)
<経歴>
FC高坂、横浜F・マリノス追浜→浦賀中学校→日本大学藤沢高校→日本大学

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