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荻江 八島

八島なんて島、ありました?
あるんですよ四国に。「屋島」と書くんですけどね、同じです🏝️屋島といえば、そう!弓流しで有名な場所ですね。どんなお話でしょうか!


あらすじ

 謡曲の「八島」を原曲とした、地唄の「八島」をさらに荻江節(おぎえぶし)に直したものと言われています。
 西国行脚の層が讃岐の八島(屋島)の浦に来かかり一夜の宿を頼むと、そこへ源義経の亡霊が現れ壇ノ浦の源平合戦の模様を聞くという内容で
馬に乗る武将、長刀や刀で戦う士(さむらい)、やがて義経が現れ、戦いの様子を語ります。
ふと気付くと夜明けとなり、的に見えたのは鴎(かもめ)の群れ、鬨の声(ときのこえ)と聞こえたのは高松の浦風だった……という独特の世界を描いた物語です。

そして今回踊りますこの「八島」は
八代目坂東三津五郎丈の振付けです。


源氏と平家

「祇園精舎の鐘の声」からはじまる平家物語は知らない人は皆無というほど有名ですし、現代に至まで逸話がたくさんありますよね。
能、歌舞伎、日本舞踊も例外ではなく源平を下敷きにした演目は数多くあります。
前出の「常磐津 景清」は平家側の武将でした。他にも「五条橋」「舟弁慶」「都名所」「源太」「晒三番叟」等々ここに書ききれないほど!大人気✨🙌

なかでもこの「八島(屋島)」を有名にしているのは
那須与一(なすのよいち)の【扇🪭の的】と源義経の【弓流し】の逸話です。



なぜ義経は亡霊なのか


周知の通り「驕れる人も久しがらず」
源平合戦は源氏の勝利に終わり平家は滅亡します。
そんな勝将軍なのに何故亡霊として描かれているのか気になったので調べました📚

伝統芸能の世界では武将や戦を題材にした曲を「修羅物」と言います。
その中でも「勝修羅(かちしゅら)」「負修羅(まけしゅら)」と呼ばれるのですが、前述したように義経は「勝修羅」ですよね⚔️

そもそも「修羅」ってなんだかものものしい💦
これは何かというと仏教における六道の一つで、生前の行いによってその後の生死を繰り返す(輪廻転生)六つの世界の事を指しています。
上から「天道」「人間道」「修羅道」「畜生道」「餓鬼道」「地獄道」。
なんとなく聞いたことがあるのではないでしょうか🤔

その六つの世界のうちの一つ修羅道。
修羅道は阿修羅のいる戦の絶えない世界のこと⚔️勝修羅といえど死して尚、戦という業の中で苦しんでいるのでしょうか。。少し物悲しいお話とも言えますね。



情景描写の美しさ

義経は、壇ノ浦でかつて戦った平教経(たいらののりつね)との戦いを踊りで表現する箇所の描写が素晴らしいので現代語訳しておきます✒️

『船戦(ふないくさ)は昔のことだが、海も山も震動するほどであった。船からは鬨の声(ときのこえ)が、陸には楯が波のように並び、月光で刀はひかり、潮には兜の鋲が星のように映っている。刀を打ち合い刺し違えるほどの激しい船戦であったが、夜が明けるにつれ、敵と見えていたのは群れた鴎(カモメ)であり、鬨の声と思ったものは高松の浦風であった…。』

このような歌詞が込められています。

兵者(つわもの)どもが夢の跡、
そんな感慨深さのある演目です。
香川県は高松、屋島へ足を運ぶことがあれば思い描いてみてはいかがでしょうか。



立方(たちかた)

坂東三千美絵(ばんどう みちみえ)

振付 八代目坂東三津五郎 丈
坂東三津千代師に師事。八世家元の名取となる。

坂東三千美絵