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【日アニおしごと図鑑 Vol.4】アニメ業界の就活は大変?先輩たちの就活体験記

新年度を迎え、新入社員が入社してから早くも二ヶ月が経ちました。新入社員が入ったということは、先輩と呼ばれる人たちが増えるということ。今回はそんな先輩たちとして、2022年入社の3人に話を聞きました。

作画部 赤松さん


作画部 竹俣さん


作画部 松野さん

〇アニメを仕事に!アニメーターを志したきっかけ

_数あるアニメーション制作会社から日本アニメーション(以下、日アニ)を選んだ理由を教えてください。
 
松野さん:
大学2年生の頃に、アニメーションブートキャンプ ※1 というワークショップに参加したんです。アニメーターの方と実際にアニメーションを作るというもので、日アニの佐藤好春さんやスタジオジブリ作品「借りぐらしのアリエッティ」の監督 米林宏昌さんなどがアニメーターとして参加されていました。
 
ワークショップの帰りに、みんなでジブリ美術館へ行くことになって。それが決定打になりました。こういうアニメに携わりたいなって。日アニともう一社とで悩んだのですが、“若手のうちにチャンスがあるのは日アニ”と教えてもらって、日アニに入社しました。

※1 アニメーションブートキャンプは、これからの時代を担う人材育成の基礎教育プログラムの開発と実践を目的として、平成24年から実施されているワークショップです。令和2年度から、新たに文化庁のアニメーション人材育成調査研究事業(愛称:あにめのたね)の一環として実施されています。 
【アニメーションブートキャンプ 公式サイト】
https://animationbootcamp.info/
 
_入社試験ではどのような課題が出されましたか?
 
松野さん:
日アニの入社試験は、“どんな人を採りたいのか”がすごく表れていると思います。即戦力として動画を任せたい会社なら、試験時間内にどれだけ動画をさばけるかという試験だけが出されますが、日アニの場合は色々な試験があって。原画と原画の間を割る中割の試験、動きをつくる原画的な試験、イメージボードを描く演出的な試験もあったし、可能性次第でいろいろやらせてくれるんだろうなって試験の段階で感じました。実際、色々なことに挑戦させてもらっています。
 
竹俣さん:
私のきっかけは、中学生の時、アニメにはまったことですね。
物心がついた頃から絵を描くのが好きで、暇さえあれば絵を描いている子どもだったのですが、中学生になってから、アニメに夢中になりました。絵が動くのってすごくおもしろいなって思ったんです。
 
その後、美術系の高校に進学。何でもできる環境だったこともあり、本格的にアニメを始めてみようと自己流でスタートしました。アニメ作りの楽しさを実感して、大学はアニメーションの学科のある学校に進み、そのままアニメーションの道に入りました。
 
赤松さん:
ぼくが業界に興味を持ったのは、就職で悩んでいた時ですね。アニメーション自体は大学でも作っていたのですが、就活の時まではあまり考えていませんでした。
 

〇どんな勉強が必要?アニメーターへの道

_3人とも大学に進学されたということでしたが、大学ではどんな勉強をされていたのですか?
 
松野さん:
グラフィックデザイン学科に在籍していました。アニメの授業もあって、15秒くらいのアニメを作った時に、自分の絵を動かすことが楽しいと感じました。
 
赤松さん:
私はデザインを学んでいました。
 
竹俣さん:
私はアニメーション学科だったので、手描きの他にも粘土や砂を使ったりして、色々なアニメーションを作りました。
 

〇業界研究が難しい!最近の就活事情

_アニメ業界にどんなイメージを持っていましたか?
 
松野さん:
SNSなどでアニメーターの方に絵を見てもらうために、“アニメーター志望です”とプロフィールに書いて絵をアップしていました。そこでアニメーターの方から色々聞いていたのですが、実際は聞いていたよりも大分穏やかでした(笑)
 
_就活にあたって、最近ではSNSで絵を見てもらったり、情報収集をするのが主流なのですか?
 
松野さん:
私の大学はアニメーターの就活支援がほとんどなかったので、アニメクラスの教授のツテでスタジオ見学に行ったりアニメーター志望者が集まるコミュニティだったり、ササユリ動画研修所という訓練校、SNSを使ったりして情報を集めていました。狭い業界だと聞いていたので、作ったアニメやポートフォリオを見せたりしていましたね。
 
竹俣さん:
アニメ業界って、業界に特化した情報とかデータが本当になくて。年度や会社にもよりますが、募集自体がないこともあります。自力でHPを調べたり、先生に紹介していただいたり、アニメーション会社が参加する美術大学向けの合同会社説明会で話を聞いたり、そういうところで情報をかき集めて自分に合いそうな会社を探しました。とにかく情報収集が大変でしたね。

_アニメ業界に入ってからの印象はどうですか?
 
竹俣さん:
大変な業界だと思っていたのですが、入ったら穏やかな感じです。もちろん会社にもよると思いますが。最近は3DCGやモデリングの募集をしているところが多いのですが、私は手描きで探していたので、募集が少なく大変でした。
 
赤松さん:
アニメ業界はめちゃくちゃブラックだと思ってました。ただオンラインで面接したりしているとイメージが変わってきて。実際に入社してみたら、みんないい人たちだし、ちゃんと帰れるし、それでいて実力はあるし。ブラックな印象はなくなりました。
 
〇アニメーターの1日

_1日のスケジュールを教えてください。
 
松野さん:
10時に会社に来て、13時くらいから休憩に入って、19時に帰ったり帰らなかったりです。
内容は、ずっと動画を描いていることが多いですね。今は「ちびまる子ちゃん」や「青のオーケストラ」を担当しています。
 
_絵柄やキャラクター、作品によって得意不得意があるのですか?
 
竹俣さん:
単純に時間のかかり方が違いますね。「ちびまる子ちゃん」は、人体がシンプルに描かれていて線の数も少ないので描きやすいです。「青のオーケストラ」だと、絵柄がリアル寄りで髪の毛の線なども多く、描くのが大変な楽器が出てくるシーンもたくさんあるので、比較すると時間がかかります。
 
_1日何枚くらい描いているのですか?
 
竹俣さん:
難易度がカットによって全然違うので、ひとことで何枚描けると言えないですね。
 
松野さん:
絵柄にもよりますが、15枚描けるといいかなという感じです。
 

〇家族に報告!担当作品を一緒に見た日

_日アニに入ったことを家族に報告しましたか?その時の様子を教えてください。
 
赤松さん:
初めて自分の担当した話数が放送された時は録画をお願いして、帰省した時に“このカット僕がやったよ”って話をしましたね。「ちびまる子ちゃん」を担当してるって誰にでも通じるので、ありがたいです。
 
松野さん:
父親が「未来少年コナン」が大好きなので、“「未来少年コナン」の会社で働いてます”って周りに言っているみたいです(笑)。


「未来少年コナン」
https://future-boy-conan.com/

竹俣さん:
家族がすごく喜んでくれて、「ちびまる子ちゃん」も見てくれています。「フランダースの犬」の再放送も1話から見てくれていて、その様子を見ているとうれしがっているのを感じますね。 

〇これからやりたいこと

_これからやっていきたいことはありますか?
 
松野さん:
演出や原画などに挑戦してみたいです。そのために勉強もたくさんしたいし、時間があるうちに友達と自主制作のアニメを作ってみたいです。下っ端の時間にゆとりのある今だからできることがあるのだろうなって思うので。
 
以前参加した新規の企画募集では、案出し・企画に挑戦する事ができて、すごく楽しかったです。“誰に届けたいからこの絵柄にするんだ”とか、“お話はこういうふうにしよう”とか。図書館のお姉さんに小さい子にどんな作品が人気なのか聞きに行ってみたり。今後も企画募集があれば、ぜひ参加したいですね。

竹俣さん:
私は絵を描くことを続けていきたいです。まだ動画しかやっていないので、自分がどういう仕事に向いているのかわからない部分もあるので、とにかく色々な仕事に触れてみたいですね。
 
赤松さん:
僕も描くことを続けていきたいです。発案するとか、頭を使ったこともやってみたいですが、自分に向いてることで活躍したほうが世のため人の為だと思うので。ギリギリまでしがみついていたいです。
 

〇後輩たちへのメッセージ

_4月に新入社員が入社していよいよ先輩になりましたね。これからアニメ業界に入る後輩たちに向けてメッセージをお願いします。
 
松野さん:
ちゃんと調べてから入りましょう!私は結構自分で調べた上で、信頼できる方の紹介で日アニを目指せたからよかったけど、どういう業界なのか、どういう働き方なのかとか…。ある程度理解して入った方が良いです。地方からオンラインでデジタルアニメーターとして働ける会社もあるし、アニメーターという職業でもいろいろあるので。
 
あと、短くて良いからアニメを作ってみてから入ったほうが良いかもしれません。色々な職種があるので。編集なのか、絵を描くことなのか、考えることなのか。最初からやってみると、自分が何をやりたいのか、アニメ業界に入る方が良いのか、それとも違うのかがわかると思います。
 
竹俣さん:
日アニはちゃんとアニメーションを学べる会社です。先輩方もしっかりと学ぶ環境を作ってくれているので、アニメをやりたいなという気持ちがあるなら入って損はないと思います。
 
学生のうちは、その時しかできないことを沢山やっておけばいいのではないかなと思います。アニメの仕事は、絵を描いたり、企画を考える仕事もあるので、学生のうちしかできないことをいっぱい経験してください。そして、日アニはすごく良い会社なので、ぜひ目指して欲しいなと思います。
 
赤松さん:
日アニにいる方は技術もしっかりしていて素晴らしい方ばかりです。会社は人間関係も大事だと思うのですが、この会社は本当にいい方しかいないので、この会社目指している方には伝えておきたいです。

〇編集後記

今回は2022年に入社した3人に就活や日アニのことを聞きました。私自身がアニメーション制作とは全く別の仕事を担当していることもあり、入社理由や就活方法などの話を聞いていてとても新鮮でした。ネット検索だけではなかなか見つからない業界のあれこれ。この記事を読んだ方がアニメーション業界に興味を持ってくれると嬉しいです。
 
聞き手:村岡 佑哉、miho nishikata

©NIPPON ANIMATION CO., LTD.
 

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