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イサム・ノグチの空間芸術を読んで①

イサム・ノグチ。
1904年、アメリカで生まれた日系アメリカ人アーティスト。

私は彼の作品の「ニュース」がとても好きです。1930年代末、製作期間1年半とかけてつくられたこの作品はとにかく力強く、迫りくるような臨場感がかっこいいなと思っていました。
(https://dayart.co.jp/d-sasano16/)

話はそれましたが、この本はイサム・ノグチの歴史を作品の変化に合わせて振り返り、考察された本でした。著者は松木裕美さんという国際日本文化研究センター助教をされてる方で、専門分野は20世紀アメリカ彫刻史とのこと。まさにその手の専門家の方が書かれた本で内容はとても理解しやすいものでした。
早速ですが、この本で私が学び得た物を何回かに分けて書きたいと思います。

1950年、イサム・ノグチは日本を訪れたとのこと。当時は第二次世界大戦後のアメリカ占領下で引き上げ民や引き上げ兵の為の建設事業で盛んだったらしいです。
当時はその建設ラッシュ時に新制作派協会という建築家谷口吉郎や丹下健三などが所属しているグループがあった。名前の通り、当時のアバンギャルド勢だろう。ザクッとまとめるとアカデミックなんてクソくらえというような方々が作ったグループらしいが、協会というグループに縛っていることが結局アカデミックになってしまわないのかと疑問に思いながら。。

当時は芸術と建築は別の枠組み。総体として見られるのではなく、建築は建築、芸術は芸術単品で光る評価だった。まるで、ファッションでいう洋服とアクセサリーを別で評価するような時代だったらしい。
それを統合を図ったのが、新制作派協会。
そんな時期に現れたのがイサム・ノグチだった。
そんな背景から谷口吉郎が建築を設計し、イサム・ノグチがモニュメント(アート)を手掛けた作品「新萬來舎」でアシスタントをしていた芸術家の一人のコメントを抜粋。
「ノグチの造形はきわめてユニークで、とにかく直線がない。逆に谷口の建築は全て直線である。新萬來舎はT定規で描けるが、ノグチの造形は全く違う。フリーハンドによるスケッチ。模型で形を作っていく。そのダイナミックで有機的な造形に我々は四苦八苦しながら寸歩を見出し、数値を探していく…」

このコメントに私はいろいろ考えてさせられました。まず一つはいつの時代も現場泣かせのデザインは存在するのだなと染染感じました。自分がフリーハンドの設計図を頂いて施工図を起こすことを仮定すると、最新のAIを駆使しながらでないと気が遠くなりそうで。そもそも最新のAI技術を私自身が使えるか否かはさておいて。

私はこのアシスタントのコメントから2点、学びを抽出しました。

①幾何学な形態と有機的形態の関係は色でいう補色関係のように相反しながら調和のとれるバランスがとれること。
②数値を探していくという過程。

上記2点から精神的な学びを得ました。
次の記事ではそれを具体的に書いてまとめたいと思います。

面のゆりかご

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