夕陽色の通学
僕は長距離通学大学生!
電車通だが鈍行だと往復6時間半かかる。
初めは何より時間を買いたいと特急券を買った。
通学時間は3時間半になった。
それから1ヶ月後。
通学路にあるいい本屋さんと出会った。
時間よりもなによりも、本を読みたいと思うようになった。
特急券より本を買って読むことにした。通学時間は6時間半だった。
それから、そのいい本屋さんをきりもりしているご夫婦と話していると、ご夫婦の背景が知りたくなった。
いきなり「今までどんな生き方してたんですか?」なんて聞けれないから、ちょっとずつ距離を詰めようと思った。
毎回本屋さんでは、コーヒーを頼んでおしゃべりを楽しんだ。
特急券よりも、本よりも、店主の背景が知りたかったもんだから、コーヒーを買った。通学時間は10時間半になった。
それから、いい本屋さんの目の前には素敵な湖があって、そこから見る夕日が綺麗だということを知った。
なにより時間よりも、本よりも、夕日を見ることが大切で、夕日を見るようになった。最後の最後まで、夕日色が消えるまで見るもんだから、一番遅い電車で帰るようになった。通学時間が14時間半になった。
腰が痛くなった。でも、大切にしていることが変わった気がする。
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