命の次に大切なお金、そのお金を失うかもしれない金融商品を扱う証券営業の始まり、始まり。          


証券営業開始からの1ヶ月間は、支店近くの狭いエリア限定の飛び込み訪問です。
新人指導員からこれだけ持ってけ、勧めろ、と指示されたのは、貯蓄性があり短期間での解約も可能な債券型投資信託です。
ただただ回っていれば売れる商品だと思いましたが、当時は、ほぼ100%近く断られていました。
断りの連続でしたが、何故か失望することもなく、そして工夫することもなく、どうしてこんなに話を聞いてくれないのかなあ、くらいにしか感情は動いていませんでした。
同期入社の中には、行って来ます、と真っ直ぐ喫茶店に行く連中もいます。
私も誘われて何度か行きましたが、常連になってコーヒーチケットを買って、漫画を積んで、時間になったら今日はどんな嘘の営業日誌を書こうかな、を考える、潰れたレコードの様な繰り返しの日々。
上司も先輩社員も、サボっている人が多かったですね。
尊敬出来ない、慕えない上司が作る職場の空気が悪かったですし、早く外出したい、外出しても無理商いしているお客様のところに行ったら嫌味を言われる、みたいなネガティブスパイラルだったのでしょう。
それまで、勉強もスポーツも然程打ち込んで来たものがない私は、なんとなくでしたが、せめて仕事は頑張らないと、と軌道修正しました。
そこからは、ただただ飛び込み訪問を続けながらも、断られて悔しいと感じたり、訪問時の挨拶を少し変えてみたり、会社の場合は受付の女性を個人の見込み先として商品をお勧めしたり、と少しずつ感情や工夫が入る新規開拓へと変化していった様に思います。


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