名作映画紹介『ル・ミリオン』(1931)

今日は比較的元気なので2本投稿。ご紹介するのは、トーキー時代の傑作のひとつ、『ル・ミリオン』です。監督はフランス古典の4巨匠のひとりに数えられる、ルネ・クレール(1898〜1981)です。他の代表作には『パリの屋根の下』(1930)や『リラの門』(1957)が挙げられます。(どれも古いですが、面白いです!)

〜あらすじ〜
貧しく借金まみれ画家の(ミシェル(ルネ・ルフェーブル)は宝くじで一等を引き当てた!はずであったが、その引換券がどうしても見当たらない。ぼろ上着のポケットに入れたことを思い出したが、それは彼女であるベアトリス(アナベラ)が着ていったまま、スリの親分に売り払ってしまっていた。後を追うも、それはさらにテノール歌手の手に渡ったことが明らかに。彼はついに舞台裏まで侵入。果たして彼に「ル・ミリオン」は戻ってくるのか!?

この作品は何といっても、美しいメロディーに集約されます。クレール自身が作詞したと言われる「我らは森にただ一人」は、古風なフランスのもつ極上のエスプリ。花びら(といっても舞台上なので作り物ですが)が降り頻る中、愛を誓い合う二人。その姿は映画の広告にも使用されており、何ともうつくしいのです…。様々ん名曲がクレールから生み出されていますが、『ル・ミリオン』が最高傑作であると言っても過言ではないと思います。

最初期に、私の研究対象は実相寺昭雄監督(1937〜2006)であると紹介しました。彼は熱心なクレールのファンであることが知られており、大学卒業論文のテーマとしているほどです。私もその両者の関連を論じようと観始めた次第なのですが、想像以上に面白い。忘れ去られゆく古典を、あなたも小さなポケットで大切にしてみては?

ではまた。
https://youtu.be/LPeNQozgbXo(没後40年記念の際の映像)

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