名作映画紹介『姑獲鳥の夏』(2005)

お久しぶりです。私の記事をお読みになってくださっている方々、フォローしてくださっている方々、いつもありがとうございます。noteにも慣れ、そろそろ映画紹介だけの記事を書き続けるのもどうかと思いだしたので、フォロワーさんが50人を突破致しましたら、新企画を取り上げようと考えています。どうかお楽しみに!

さて、今日紹介するのは、私の研究対象である実相寺昭雄監督(1937〜2006)の晩年の作品、『姑獲鳥(うぶめ)の夏』です。原作はかの有名な推理作家である京極夏彦(1963〜)の同名小説。これが何とデビュー作だったのですから、つくづく凄まじい才能としか言いようがありませんね。

あらすじ
昭和27年の夏、小説家の関口(永瀬正敏)は、古本屋の主人であり神社の神主でもある友人の京極堂(堤真一)のもとに、原稿のネタを相談をしに訪ねてくるところから始まる。そのネタとは、雑司ヶ谷の鬼子母神近くの産婦人科の娘の梗子(原田知世)が、なんと20ヶ月もの間妊娠し続けているというのだ。さらに、その夫である牧朗(恵俊彰)は1年半前から、行方不明だという…。京極堂は、彼の友人である探偵の榎木津(阿部寛)に相談するように促す。その事務所に向かうと、時を同じくして梗子の姉である涼子(原田知世、二役)が、義弟の捜索願を出していた。「姑獲鳥」という妖怪は何者なのか。数々の謎はなぜ起こるのか。その結末は?
京極堂は言う、「この世には、不思議なことなど、何もないのだよ」と。

かなり難しい物語の構成となっていますが、実相寺のすぐれた映像感覚によって、摩訶不思議な世界観が上手に表現されています。特筆するべきは、光の光彩を利用した照明(虹色が浮き出る!)、カメラがじりじりと後退することによって生まれる「二重枠」でしょう。これらは実相寺の初期の作品群でも見受けられる技法です。実相寺好みの「日本的なるもの」(彼自身の言い回し)も所々に散見され、私はついついニヤリとしてしまいます。
その難解さゆえになかなか毀誉褒貶が激しい作品であろうかとは思いますが、『TRICK』などの不思議な映像世界がお好きな方はぜひ一度、ご覧ください!

https://youtu.be/DNpS9hRyoEI(映画CM)

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