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筋トレ サウナ ビール

少し遅めの夕食。
共働きをしている我が夫婦にとっては
何も珍しくない日常だった。
お互いに忙しい身であるため
先に帰宅した方が夕飯の準備をする。
そのようにルールを設けており、
その日、妻より先に帰宅した私はルールに
従い夕食の準備を始めた。
仕事がいつもより少しばかり忙しかった私は
出来るだけ手抜きをしたかった為
ズボラ煮込み料理である、鶏胸肉のトマトジュース煮込みを作る事にした。
お察し頂いた方もいらっしゃるだろうが
こちらの料理はyoutuberのリュウジママが
チャンネルで紹介していたレシピの
胸肉バージョンである。本来はもも肉を使用しており、そちらで作った際は大変美味しく、妻からも大変なお褒めの言葉を賜った。
冷蔵庫を確認した所、胸肉しかなかったため
代用する事にしたわけだ。出来栄えは自画自賛になるが想像以上に良い出来栄えだった。
胸肉はもも肉よりも繊維質の為、火を入れると
どうしても硬くなりがちだが、低音でじっくり長時間煮込んだおかげで繊維質がホロホロにさけ、スープが良くからみあっていた。
これはいける。
きっと疲れ果て帰宅した妻も
これを食せばきっと明るい笑顔が浮かぶ筈。
そんな事を考えニヤニヤしながら他の雑務等を
行っていると妻が帰宅した。
部屋に漂う美味しいに釣られ、妻が食卓についた為、私が嬉々と料理を妻の前に
配膳すると、何故か妻の表情が固まった。
あれ?どうしたのだ?しかもそのまま石像のように微動だにしない始末。一度も口にしようともしない。
大した物を作ったつもりはないが、私とて
仕事終わりで疲れた状態で作った。流石に
この仕打ちはないだろうと思ったが
どうしたの?と聞いてみた。
すると妻が一言
「…私鶏胸肉が憎いの」
はい?つい先日、貴方様は私めに美味しい
鶏胸肉料理を振る舞ってくれたではないですか?あの時一緒に食べましたよね?なぜ?
すると
「あれは片栗粉でたっぷり保湿したから
ギリ大丈夫。こんなに繊維質なの無理」
なんじゃそりゃ。
昔はそんな事は無かった為、いつからなのか?
原因はなんなのだ?
そんな考えが堂々巡りし困惑していると
妻が一言呟いた。
「貴方の減量に付き合って、毎日同じパサパサの鶏胸肉を食べ続けたせいです。」
な、なるほどなー。
時は半年程遡るが私は減量していた。それも割とちゃんと。一日の摂取カロリーを設定し
高タンパク、低脂質な食事を三ヶ月程続けた。
その時の主なタンパク源は鶏胸肉を採用しており、しかも何食分か作り溜めするため
大量に作る事ができ、しかも簡単な煮込み料理を毎日作っていた。それが嫁の中でトラウマになっているらしい。なんてこった。
減量期は体重も落としてくれるが、同時に家族からの好感度も落としてしまう。しかも体重はすぐにリバウンドするが、好感度は中々戻らない。
今後減量する際は妻と食事は分けようと決心したのだった。

因みにチキン煮込みはカレーにアレンジしたら
食べてくれたりした。


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