人生は銀河のように美しい

そう言えば、由花子ちゃん彼氏はどうなの?結婚しないの?
社会人4年目、今年26歳になる私。
お決まりの質問をされることが急激に増えた。

「最近どう?」
ビール片手にポテサラをつついていると
知り合いの話になり、結婚報告を耳にする。
今年に入って5回は聞いたと思う。
なんとなくにぎやかだった空気が少し止まり、その間を埋めるように緩やかに流れる会話。

ストーリーに流れてくる友人の結婚報式の様子や
LINEプロフィールが子どもに変わったのを見る度に
胸がざわざわする。

10代の時に思い描いていた26歳の私はもっと大人で、落ち着いているはずだった。
結婚して子どもがいるか、華やかなオフィスで忙しくも充実したキャリアを送っていると思っていた。

17歳の頃、
「誰が最初に結婚するかな?」と話していた時間は遠い昔のことなのに、
風で膨らむ白いカーテンや、放課後の教室に差し込む西日、
友達の笑い声が昨日のことのように思い出せる。

どんどん人生を進めていく友達を横目に
代わり映えのない日々を淡々と過ごす私。
周りの近況報告に素直に「おめでとう」と言えない自分に嫌気が差す。

「他人は他人、自分は自分」
納得した振りをしながら、自分の気持ちに蓋をしてきた。
そんな割り切れない私は自分の人生と向き合いたいと思う。

どんな時に幸せを感じるのか、
お手本にしたい人生は、
思い通りに生きること、とは。

これまでの日々を振り返って思い出したのは、

寝る時間も惜しんで、必死になって努力した部活で結果を残した時。
ドリンクバーだけで閉店までしゃべり続けていた時間。

将来に悩む友達の話を徹夜で聞いた日の朝焼けの美しさ。
ぐでんぐでんになるまで酔っぱらって散歩した鴨川。

納得のいかないこともあるけれど、丁寧に指導し育ててくれる職場。
由花子さんは期待以上に仕事をしてくれると声をかけてくれる上司。

どの瞬間も一生懸命で眩しくて、忘れがたい日々だった。

結婚して子どもがいる
やりがいのある仕事に就いている
肌が透き通るように白くてモデルみたいに綺麗


分かりやすい基準や、賞賛される何かを持たない私は完成しないパズルみたいだ。
欠片が揃わない自分の人生は未完成に思えて、時に自分を見失ってしまう。

自分の欠片を他の人が持っていたら羨ましいけれど、その人が全てを持っているわけでは決してない。
わかっていても、自分のことになると足りない部分にばかりに目がいってしまう。

私の人生には足りない欠片があるし、その欠片は埋まらないままかもしれない。
やっと手に入れた最後のピースと思っても、時間が経つと足りない部分がまた見つかると思う。
けれど未完成な私の人生はとても美しいことを、今までの私が教えてくれた。

人生を進めていくうちに
また同じようなことで悩み、他人を羨み不安になる日が来るだろう。
そのたびに今感じた気持ちを思い出したい。

誰かに憧れたり、ロールモデルを探す必要ない。
足りないピースを必要以上に嘆かなくても大丈夫。

未完成ながらも私の人生は、他の人の人生にはない魅力を持っているから。
足りていない部分を必死に補おうとしていた時間も愛おしい。

煌びやかでも華やかでもない。
同じような代わり映えのない日々を過ごしているけれど、
どんなことがあっても、同じことができる毎日を大切にしたい。



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