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塗り箸のハゲ部分を素人仕事で塗り直してみた件

もう十年以上も気に入って使っている塗り箸があって、先端数センチがかなり禿げてきたのでさすがにお疲れ様かと思いつつダメ元で検索すると興味深い記事が。

ここで紹介されている漆と工程の記載がハードルを下げてくれた気がしてやってみた次第。
これをさらに端折って1日でメインの作業が終わったけれど、「漆塗り!」な艶仕上げには程遠く、塗り直した部分である先がザラザラで「つまみやすい箸」に生まれ変わったという話。タイトル画像が出来栄え。

塗るのはまあさておいて、
本来漆は温度湿度が乾燥に必要だと調べてわかった。ここで使っているというMR透き漆を入手して取説を見ると気温20度が要るという。湿度はなんとでもなるが私は綿入れ半纏愛好家のため室温はおろそかだ、だがこちらの記事中にあるように塗り直した日付は2月。
いや、もしかしたらうちと違ってちゃんと部屋全体を温めている方かもしれない、春を待つか?と思いつつも、散々悩んだ末にえいやと塗ってみた。
もちろんその前の写真は無い。そんなことしてたら勢いが削がれて実行できない人間なので。

具体的には、洗って拭いただけの箸にサンドペーパーもかけず剥げたあたりだけ透き漆を薄く薄く塗り、厚いかなと思った時だけティッシュで拭ってみたりしてから乾燥用の室を作って納めた。
室は2リットルペットボトルを切って逆さに立て、その中に無印良品の歯ブラシ立てに立てた箸と、その周りに濡らしたティッシュを納め、春になればここまでで良いだろうものを弱で設定したミニコタツの上にのせて(このこたつは熱源が下にあって上向に放熱するので。)さらに全体を寝袋でくるんでみた。
(註:後に思うに、くるむまでは要らなかった。だいたい34℃くらいまで上がってたっぽい)
サーモスタットがついてるならホットカーペットでもよかったと思う。

以下作業に関する備忘録として、
・漆かぶれ防止に何よりも手袋必須。そしてティッシュとすぐ捨てられるゴミ袋(水濡れ袋的な)もあると安心。
・粘度が高いので、瓶からブラシを引き抜く時には含んだ漆を縁でしごきながら慎重にゆっくり出さないと、仮にも瓶の口に泡の膜ができてしまった場合筆を戻すもできず、筆から垂れる漆が瓶の中に戻るか心配なほど(でパニック)になれるので注意。
・とにかく薄く塗ること。時間経って垂れてくる。半乾きのうちに拭えば良いが。
・歯ブラシ立てに立てた後、なにがしかで箸の足元を固定できた方がいい。
・食器用には天然漆。合成漆はダメ。

乾燥にはMRでないものでは数時間〜10時間、使用までには2-3日かかるという。MRは乾きが早いというが、サーモスタットにエールを送っておこうと思う。


と、思って4時間ほどで見てみたら、
見事に垂れてきていたので!
慌てて取り出して垂れた部分をティッシュで拭ってみた。

持ち手を下にしていたのでこの通り。
半乾きだったので拭ってごまかせた。


そもそも温度が高すぎたのか、透き漆のはずが真っ黒で、垂れてない部分も表面がシワシワザラザラとしている。素人目には、ごく表面だけ乾燥したために乾燥していない部分との収縮率の差が強く出てしまったのかなとかいう感想。寝袋まではいらなかったかも。
そういえば参考にしたところもざらざらになったとかあったかなあ。美しく光沢を放つ仕上がりは職人技のなせる技なのだろうなと改めて思った。
とはいえ、先端の数センチだけのザラザラなんて逆に掴みやすくなったかもしれないと私も思い、仕上がりが美しくなくとも補修としては十分であると満足し、ほんのり追加で塗ってティッシュで拭ってから、今度は寝袋なしのこたつの上にのせてみている。

こんな感じ。緑の寝袋の内側にミニコタツ。
ボトルの中はもう少し気温低かろう。


想定を越えた失敗をしていないからだろうけど、どうしようもなく楽しい。


さらに4時間後、ティッシュで拭っても何もつかないくらいに乾いたので加熱は終了。
タイトル画像の通り、塗った部分がザラザラザラ…ただまあこういう「掴みやすい箸」っていうものもあるよね、的な。
このまま2日くらい放置してから使い始めようと思う。

これでまたしばらく使えるかな。


翌朝、気が向いてざりざりを爪でこそげたら、硬化が甘いことに気がついた。
ので、せっかくだし、と全体のバリをティッシュでごりごりとけずって保温なしの室の中に。それで木地が少し透けて見えるところをどうしようか悩んでみようと思う。

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