ネタバレ注意・『トラペジウム』感想

※映画完全初見の感想です。記憶違いがあるかもしれない。
※総括が苦手なのでキャラを掘り下げながら書いていきます。
※キャラを特有のあだ名で呼ぶのでそう言うのが嫌な人は回避推奨。
※台詞は意訳です。


東西南北を冠する主要人物たち


・東ゆう

本作の主人公。東と冒険担当。
アイドルに並々ならぬ憧れを抱き、自分もそこに上り詰めようとしている努力家……だが、目的の為なら周りを利用する打算的な性格。
とは言え、こう書かれてると悪人っぽく見えてしまうが、実際はそうじゃないと思う。
序盤にカメラマン君に言っていた台詞がある。

「アイドルになれるはずの人材が埋もれているのが勿体無い」

これは説得する為の方便かもしれない。けれど、作中において東ちゃんは

「アイドルは他人に夢や希望を与える輝いた存在」

こんな捉え方をしている上に憧れが超強い。
だから他人の人生を左右出来る人材がそれをやらない、と言うのを放っておけない気持ちはあったんじゃないかと思う。ちょこっとくらいはね。

上述の通り、東西南北の中で最もアイドルが好きで、当然ながらモチベーションも高い。アイドルとしてのプロ意識も高く、周りにも同じパフォーマンスを求めたが故に崩壊してしまう。

自分のアイドル理想像を他の三人も同じように認識している。なんて気持ちもあったかも知れない。まだ高校生だしね。自分の夢に突っ走ることに夢中で周りが見えていなかったんだと思う。
途中からは「誰かの前で輝く」じゃなくて「アイドルになる」が最終地点になっていたように見えた。

でも、自分はこのキャラが大好きです。
言い換えれば夢の為に努力を怠らず、プロ意識が相当に高かった。
嫌なことがあればすーぐ顔に出るし、舌打ちもする。
けど、悪いと思ったら謝れる。
最終的には輝くアイドルになったけど、中身は何処をどう見ても自分たちと変わらない。良いところもあれば悪いところもある人間なんだなって。
東ちゃんが完全な悪人だったかどうかは映画を見たら分かるはず。
あの四人の仲の良さが答えだと思います!

舌打ちシーンほんと好き。


・大河くるみ

西と旋回担当。
作中で特に可愛い顔が良いと描写されていた高専生。ロボコンで注目を集め、ファンが出来るくらいには顔が良い。
しかし、その注目度とは裏腹に目立つようなことは好きじゃない。
四人の中でアイドルと言う立場から最も逆の位置に属する性格であり、少なからず東ちゃんの目的には気付いていた模様。

それでも高専で女子が居らず、きっかけは東ちゃんの打算でも仲良くなれた四人での生活を楽しんでいた。
楽しければそれで良かったのだと思う。
だからこそ、アイドルが抱える苦労に耐えられず、初めに限界が来た。

アイドルに恋人が居たら駄目なのか。
青春をもっと謳歌した方が良いんじゃないのか。

多分考え方的に四人の中で最も普通の高校生寄りだったんだと思う。
彼氏バレに反応してたことや、初めて東ちゃんがプールに来た時の反応、十年後(?)のあのちょっとしたやり取り……カメラマン君のこと好きだったんじゃないかなって。
なんなら最後は……どうなんでしょうかね?

そしてこのキャラには凄いところがあります。

なんと。

可愛いんですよくるみちゃんは。

作中でも言われてる通りの可愛さが伝わってくるんです。

「いやいや、そんなのこの記事の筆者がアニメ好きで声優好きだからだろ?」

って思うかも知れません。
でも、今回の映画はアニメを全く見ない乃木オタと一緒に行ったんです。
その乃木オタが一番可愛かったのがくるみちゃんと言ってたので間違いないです。

くるみちゃんは可愛いんだよ。


・華鳥蘭子

南と冒険担当。
喋り方や見た目通りのお嬢様。プールまである豪邸住み。
それで世間知らずなのか、とにかく色々やってみる性格で東ちゃんの提案に常に反発することなく乗っかり、楽しんでいる様子だった。
作中の台詞を使うなら

流れに身を任せる性格だろうか。

アイドルになる——そんな凄い流れに乗っているのだから、悪い時期もあればそのうち良い時期が来るだろう。
つまり楽観的な性格である。
しかし、東ちゃんと違って周りを見渡せるおかげでくるみちゃんの異変を察知してからはずっと考え込んでいたっぽい。
アイドルの苦労に対する東ちゃんの意見に対して

「それはあなたがアイドルを好きだからでしょう」

と、返していたのが物凄く印象に残ってる。
これ凄く分かる。好きなことならその苦労すら耐えられる。勿論、好きなことやってるのに辛い思いをしたくないって人も居るだろうけど。

最終的にはアイドルを目指した経験が将来を決めるきっかけになった。
流される立場じゃなく、流れを作る立場になったってことかも知れない。


・亀井美嘉

北と旋回担当。
東ちゃんの留学する前の友達……だったらしいが本人は覚えていなかった。
過去にいじめられていたのを東ちゃんに助けられたファン1号。
ボランティア活動をしていることと万人ウケするビジュの良さから北担当に抜擢される。

しかし、物語中盤での彼氏バレで東ちゃんにブチギレられる。
この現実でもありがちな炎上を受け持つのが北ちゃんだったのは「なりたいじぶん」の歌詞にあると思う。
記憶が正しければ北ちゃんの割り振られたソロパートが

『なりたいじぶんってひとつじゃない』

これは

アイドルとしての自分
恋もする普通の女子高生としての自分
東ちゃんのファンとしての自分

と、北ちゃんが複数のなりたい自分をあの時点で持ち合わせていたからなのでは?

憧れたアイドルに並び立った東ちゃん。
憧れた東ちゃんとは並ばず、ファン(友達)で居ることを選んだ北ちゃん。

ここはもしかしたら対比の関係になってるかも。


考察のようなもの。


サチちゃんが東ちゃんにアイドル衣装を渡した理由。

サチちゃんの足元が映されたワンカット。
上述した序盤での東ちゃんのアイドルになれる人が埋もれている発言。

この二つから組み立てるとサチちゃんの立場は

本人がアイドルになりたいけどなれないと思っているパターン。

が想像出来る。
アイドルになるべくしてなろうとしている東ちゃんとは真反対になるのかな?
サチちゃんもアイドル好きなので、東ちゃんが抱いていたアイドルになれるはずの人が埋もれていたら勿体無いに近い感情があったのかも知れない。
だから譲った?

もしくは北ちゃんに東ちゃんの夢を聞いていたか。
ただ、北ちゃんが東ちゃんの夢をどの時点で把握していたかは覚えてないです……前者の方が説得力あるかな。

東ちゃんが手を掴むことの意味。

作中、東ちゃんは城でのボランティアを始めた時に伊丹さんに差し出された手をちょっと嫌そうながらも取っている。
そして終盤、ファンであることを打ち明けた北ちゃんが伸ばした手は取るところを見せずに部屋の場面へと切り替わる(確かそうだったはず)。

あの握手は東ちゃんと同じことをするかどうかの判別ではないだろうか。

伊丹さんたちとは一緒にボランティアをした。
しかし、あの時点で北ちゃんはアイドルになることは多分考えてない。

部屋の電気に手を伸ばして握る仕草は北ちゃんと言うファン1号の輝きを手にしていたことを意味してるのかも?

トラペジウムの意味。

最終盤でカメラマン君が展示していたあの文化祭での写真のタイトル。
トラペジウムは天体用語であり、台形を意味する単語でもある。
どの辺も平行じゃない四角形。つまり不規則でバラバラな位置にある四つの星。
この場合、四つの星が表すのは東西南北の四人。
カメラマン君は東ちゃんから「人が輝く」話を聞かされているので、あの写真は四人の笑顔が星のように輝いてると言う意図で展示したんだろう。
あれ以外は全部星空っぽいので。

ここで大事なのがあの写真がが十年前であり、十年後であると言うこと。

高校時代、東西南北として同じ道を進んでいた四人。
十年後の全員が別々(衣装だけ)の道を進んだ四人。

実際に十年後は東ちゃんだけがアイドルになり、あの写真は予言のようなものになった訳ですが。
これはアイドル以外も輝くことが出来る。
その人が選んだ道を進めば自ずと誰かにとって輝く存在になれる。
そんな意味があったり?

方位自身の歌詞。

ED曲の「方位自身」!すっごくすっごく良くないですか!
あの世界では多分リリースされてないこちらの世界でしか聞けない東西南北の曲!「広げたノートが笑みを乞う」って歌詞が天才過ぎる!

とまあ、曲の感想はここまでにして考察へ。
ちゃんと読んでくれた人が居るかはわかりませんが、キャラに担当方角と一緒に太字で「冒険」「旋回」が割り振られてたのは気付きましたか?

これは考察と言うより妄想なんですが、曲の中で「青春切符で〜」から繋がる歌詞に「旋回中」と「冒険中」の二通りあります。どちらも二回ずつ出てきて合計四つ。
これ、もしかして東西南北の四人に割り振れるんじゃないかって。

アイドルになりたい東と流れるままに色んなことをする南は冒険。
アイドルと言う前方に進まず、その場でくるくると回って楽しい時間を過ごしたい西と幾つものなりたい自分に思考がくるくる回っていた北が旋回。

……流石にこじつけか。

総評。

ここまで小難しいような良く分かんないような話をつらつらと並べてきた訳ですが、自分はこの映画、凄く良いなと思いました。
要するに面白かったし、好きです。
結果的には失敗だったのかもだけど、東ちゃん主導でアイドルを目指した経験が活きて、またこれからが始まっていく。とある曲の歌詞が浮かびます。
自分は東ちゃんが凄く好きですね。
原作はこれから読みます。


終わり。



















どうでも良い与太話。

東ちゃんの行動原理は別のものに置き替えると意外と分かり易いです。
例えばスポーツをやったことがある人なら分かるのでは?
自分は上手くなりたいのに周りがダラけていてまともな練習にならなかったら腹が立ちませんか?特に団体競技は。
プロでもないなんでもないチームメンバーのモチベーションが均一もしくは上昇志向って割と難しい気がするんです。部活とか特に。
東ちゃんは無理矢理メンバーを巻き込んでいるので状況が違うと言えば違うんですが。
自分の考察だと東ちゃんはアイドルになる才能があるならその才能を使うべき……才能のノブレスオブリージュのような思考なので、だとするとあの態度も分からなくはない。と言うか理解出来ちゃう。ただ、共感は出来ない。

でも難しいところですよね。
才能って良く分かんないし、実際作中で数字が伸びてた三人はアイドルにならず、伸びてなかった東ちゃんはしっかりアイドルになってるんだもん。

面白いね。

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