「インサイド・ヘッド2」感想書きなぐり

めちゃくちゃ楽しみにしてたインサイド・ヘッド2。


面白かったし、ヨロコビやカナシミ以外の感情たちのキャラが立っていてみやすかった。ムカムカ・ビビり・イカリにそれぞれ見せ場があったのもよかった。

しかし、ぶっちゃけてしまうと1の方がよかったな、と思ってしまった。
期待してたよりは面白くなかったっていうのが私の正直な感想。

なんでそう思ったのかを書きなぐっていきたいと思う。

まず、前提を前の作品において期待したのがよくなかった。


前作「インサイド・ヘッド」を観たときは、強烈なカタルシスを感じた。ライリーが、両親に「本当は前の家がいい」と涙ながらに打ち明けるシーンに、感情移入して私も涙を流した。
ヨロコビが、ライリーの幸せのためにカナシミを感じさせないようにしたけど、本当はカナシミを感じる必要があった。そのカナシミを乗り越えることで新たな喜びに出会えた。
そのストーリーから伝わるメッセージは普遍的でわかりやすくて、悲しいときは悲しんでいいよと言ってくれるような作品だった。
悲しくなった時は「インサイド・ヘッド」を観て涙を流したいと思うくらい大好きな作品。

2の予告を見て、このカタルシスを大いに超えてくる作品だと期待してしまったのがよくなかった。
前作と同じように、強烈なカタルシスで私の涙腺を決壊させてくれると信じていた。
先入観を持って作品を観るのは本当によくないと今回で痛感した。

誤解しないでほしいのは、面白くなかったと言いたいのではない。

決して、酷い作品、つまらないとかは全く思わない。
人間なら誰しもが抱えてる感情にキャラクター性を持たせて、人間の普遍的な行動に落とし込むピクサーの表現力は素晴らしいと思う。
こういう時あるよね!こういう風に自分の中でも感情が会議していたのかも、と思わせてくれる。
だから、観ていて、ライリーに感情移入しやすくて、ついライリーを応援したくなる。

よかった点


新感情たちのキャラクター性


 シンパイ・イイナー・ハズカシ・ダリィが全員キャラ立っててよかった。
シンパイが、ヴィランとして素晴らしいキャラ立ちをしている。シンパイは、シンパイの中にある正義感から行動していて、全く悪事を働いてるつもりがないのがいい。最初は、媚び売って取り込もうとしたヨロコビとも真っ向から対立するし。そして、シンパイは過剰すぎる部分もあるけど、想定する未来が確かにあり得る。特に、最初にヨロコビから主導権を奪おうとしたシーンは確実にシンパイが正しかったと思う。《部室でふざけて、周りの顰蹙を買うシーン》
 中盤以降の、観てるこちらからはシンパイが操ってるライリーの行動は間違いとわかる。けど、シンパイは正しいことと思ってる。そのミスマッチがヴィランとして素晴らしいと思った。ウィッシュのヴィランがヴィランしてなかったから、余計にいいキャラだと思った。 
 ハズカシが、間違いに気付いてるのもいいなと思った。友達との思い出を否定して、陽キャに取り込もうとする恥ずかしさ。恥ずかしいという感情から、自分の行動が間違いだと気づくのもあり得るからいいなと思った。 
 イイナーはムカつくけど、声が可愛い!ビジュアルも可愛い!あざとい部分も憎いとこも含めて、まあ可愛いからいいやってなる。
ヴィランの相棒としていい仕事してたと思う。
直球的に、「なんでこの2人いつまでも友達ぶるんだろ?」とか言うのは、清々しすぎて気持ちよささえ感じてしまう。 
 ダリいのシーンは、皮肉の裂け目って表現が面白いよね。ダルイって感情から皮肉が生まれる。これはあんまりピンとこないけど。ラストの、キャンプどうだったってママにきかれて、いろんな感情が出てこようとするのを、ダリィが一言、よかったよで済ませたシーンは共感できすぎて笑った。

ムカムカ・ビビり・イカリの見せ場が多い


 ムカムカの心理戦 相手の表情の微妙な変化、眉の微妙な下がり具合から隠し事をしてると見破り、他の二人の頭の中でも、ムカムカが表情の読み取りから見破られた、っていう。
 これは余談なんだけど、ムカムカの役割って不思議なんだよね。恋心とよく見られたいって感情も担ってるよね。ブロッコリーを 嫌だなあって感情って考えるといいのかな。ファッションとかにも精通してるようだし、ダサいって見られるの嫌だなあから、ファッションって感じ 嫌な目に合わないようにする役割なのか。ファッションにつながるのはわかるんだけど、イケメンとか格好いいって感情に結び付くのが分からない。混乱する。今回もゲームキャラに、ムカムカだけ引かれてたし。誰かわかる人教えて―。
 ビビリだけ、パラシュート備えてるのはビビりのライリー上での役割とキャラクター性がマッチしてていい。それと、ビビリとシンパイって結構似てるよね。ビビリにとっては、シンパイが結構尊敬できるところもあったんじゃないかな。ヨロコビに対して結構辛辣な言葉を吐いてるのも意外だった。
 ヨロコビを励ますイカリがいい。いつも憎まれ口叩いてるけど、いざヨロコビが爆発した時は寄り添ってくれる。予告編の、「もうあきらめるのか、ヨロコビらしくないぞ」っていうシーンからいいなと思っていた。
 イカリが、オレンジを蹴っ飛ばしてやるって言って、本当にイラストでもシンパイが司令部からとんでいったのは笑った。

ライリーらしさとは?

 今までライリーらしさだと思ってたもの、それを否定して封印していた嫌な出来事、自分の嫌なところからも見える自分のいやらしさも認めるラストってのはすごくいいなと思う。最後は、仲違いしていた新感情と感情たちが、結束するラストってのもいい。
 みんな、必要な感情だもんね。

よくなかった点

ライリーの行動が、共感性羞恥をあおる

 思春期特有の人間関係での失敗を描こうとしてるんだと思うけど、みていて共感性羞恥をあおる内容だった。
 あこがれの人の髪の毛を触ろうとしたり、 明らかに無理して陽キャグループに参加しようとしてるライリーの表情だったり、 コーチが来てるのに友達とスマホでバカ騒ぎするライリーだったり、 チームメイトから無理やり奪って、シュートを決めるライリーだったり、まあきつい!
 結構きつい。自分がもしやったらとか考えると、共感性羞恥が強くて不快感を覚えてしまった。

ライリー側で起きてるドラマが小さく感じる
 


 感情たちの冒険は壮大に感じるけど、今回はライリー側の冒険が小さくみえる。前作では、ライリーも家出をして、ミネソタに帰ろうとする大きな決断をして、ラストの両親へ隠してた思いを伝える。それは11歳のライリーにとっては、大きな冒険だと思う。でも、今回は無理して陽キャグループに入ろうとして、おかしくなって、切り捨てた友達と仲直りするっていうのがチープに感じてしまう。都合よくない?と。後、序盤から最終的に前の友達に戻るんだろうなっていうのが想像できてしまう。誰しもが経験したことがあることだとは思うけど。
 正直、今回も本当の感情を無視したからだと思う。シンパイの暴走が始まる前に、本当はいきなり友達から、同じ高校にはいかないというカミングアウトがライリー的にはショックで、一人悲しむっていうのは前回からの反省を踏まえていていいと思った。でも、今回は本当の感情を伝えるべきだった。友達に。その反動から、心配が最悪な未来を想像して暴走した。 

陽キャチームが絶妙に嫌なやつ


ライリーが憧れを抱いていたやつはいいやつだけど、その取り巻き連中が嫌なやつすぎる。
ミネソタをずっと勘違いするし。なんていうか、超小ばかにしてますって顔がへばりついてて、結構嫌だった。
ライリーの好きなバンドについても、「え?今も聞いてるとか言わないよね?」くそが!こんなこと聞くな!いいだろ、今も聞いてても!でも、いるよね、こういう先輩。

作品のルールに疑問を感じてしまう


 前回も難しく感じてしまったんだけど、感情が意志や行動決定を担ってるってルールなのかな。
だけど、今回がシンパイは命令をかけるけどライリーの足が動かないシーンがあった。意思や身体の拒否反応が起こしたのかな。まあ、リアルでも感情は動いてるけど身体が動かない時ってあるからね。そういうことなのかな。
 ライリーだけ感情の操り人形過ぎないか?とも思ってしまう。

 

ライリーにだけ試練多すぎないか?


 物語上のあれだと思うけど、ライリーにだけ試練多すぎない?と思ってしまう。他の子には、同じようにシンパイが暴走したりしないのか?とか、なんで他の子だけみんな大人すぎない?ってツッコミを入れたくなってしまった。まあでも、人によって感情の嵐が起きるタイミングが違うってことか。

ラストのオチが納得いかない


 チームに入れたっていうのがあまりよくない。話の筋的にも、チームに落ちたほうがいいと思うんだけど ダメだったけど、これからは、自分らしくで頑張ろうっていう。
 ライリーのキャンプでの行動は間違いが多かった。だから、それを自覚するためにもチームには落ちるラストでいたほうがいいんじゃないかな。
チームに入れたってなると、成功体験として記録されてしまうんじゃないかな。
 それと、ファイヤーフォークスのメンバーと普通にいるところも納得いかない。あれだけの暴挙をかましておいて、ファイヤーフォークスのメンバーと仲直りできるか?運動で戦犯ムーブをかましたら、信頼を回復するのかなり時間かかるよね。
 それとも、本当は嫌われてて、それに気づかないライリーっていう関係地なのかな。それかわいそすぎるよ、前回の健気なライリーが大好きだからこそ、こんなライリーを描いて欲しくないって気持ちがある。
もしくは、嫌なやつだと思っていたファイヤーフォークスのメンバーがめちゃくちゃ大人なのかな。

色々言ったけど、面白かったし観てよかったとおもう。
成長したライリーが観れてよかったし、新たなヨロコビ・カナシミ・イカリ・ムカムカ・ビビりも観れてよかった。
前作と違って、ヨロコビがカナシミの必要性を理解してるのがいいなと思った。
また続きがあれば観たいなって思う。


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