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My Favorite~大相撲7月場所



★ 0 はじめに

「荒れる名古屋」なんて言葉もあるようだが、大相撲7月場所(名古屋場所)が千秋楽を迎えた。

大関・貴景勝が初日から休場、横綱・照ノ富士も途中休場と、何としまらない本場所かとも思ったが、新大関・霧馬山改め霧島がまさかの途中出場とか、新入幕力士たちの見事な活躍とか、終わってみたらまあまあ書いておきたいことが出てきたもので、ここで一筆したためておこうと思う。

★1 新入幕力士たちの大活躍

今場所、新入幕を果たしたのは「落合改め伯桜鵬」「湘南乃海」「豪ノ山」の3人。いずれも二けた勝ち星を挙げ、三賞を取るに至った。NHKの放送で言っていたのだが、このような快挙は10数年ぶりらしい。特に伯桜鵬は優勝争いにも絡む大活躍であった。今日はさすがに豊昇龍に敗れたが、これは相手がさすがに何枚も上であったので仕方あるまい。この両者、最初は伯桜鵬がにらみを利かせていたが、最後の最後に豊昇龍にスイッチが入ってすごい形相になったとき、「あ、やべぇ・・・」とでも言いたげな表情になったのが印象に残った。この時点で豊昇龍の勝ちであったと思う。

★2 錦木と遠藤・正代・御嶽海

ベテラン勢では錦木が意地を見せたと言うべきか。久々に強いなあとうならされる一番がいくつも見られた。最後は失速してしまったが、ベテランの矜持を見た思いだ。

それに引き換え・・・(以下、相当辛口)まずは遠藤。この人は勝ち負けの数を自分で調整しているのではないかと思うことがある。平幕上位ではおおむね8勝7敗か7勝8敗が平均的な成績だ。もう3役以上に上がる気はないと思ってでもいるようだ。今場所は休場明けで平幕下位だったから10勝したが、さて来場所はどうなのか。

次に正代。あれほど応援してくれる人がいるのにと思うと、他人事ながらもっとしっかりしてくれよと言いたくなる。今日なんかも、宇良に正面から寄り切られてあっさり勝負あり。宇良がどうこうと言うつもりはないが、さすがに情けない。

最後に御嶽海。もはや、何で出場したのですかと聞きたくなるほどの惨憺たる成績。どこかが悪いのか意欲の問題なのかは知らないが、いっそ休場してくれた方がよかったのではとすら思う。

★3 三関脇の明暗

場所前や初日なんかは、終了後3人そろって大関に上がるのではないかなどと楽観的な意見も聞かれたが、そうは問屋が卸さないのが世の常だ。私自身も、そんなに簡単に大関を量産されては困ると思っている。

まずは若元春。ここ数場所の安定感や土俵際の逆転は見事だと思っているが、終盤に失速した。今日は朝乃山との対戦で正直相手が悪かったが、立ち合いも腰が高く予想通り敗北。

次に大栄翔。この人も終盤に失速。今日も最後は足が体の後方に開いてしまい、前にバッタリ倒れた。この人も正代と同じで、しばしばつま先立ちするのだが、そろそろ直した方がいいんじゃないかと余計な心配もしている。

一方、涙の初優勝を遂げた豊昇龍。前もって書いておくと、私はこの力士は好きではない。叔父が例のあの人であること(もちろん、これは本人にはどうしようもない問題だ)、それから時に覗かせる傲慢さ(いつぞやの正代との対戦のときに、明らかに自分の負けなのに納得がいかないとでもいうような態度を取り続けたことを私は忘れていない)が鼻につくからだ。

しかし、今日の本割と決定戦の2番における彼の強さは、素直に認めざるを得ない。特に仕切り中の表情に今日はつい目が行った。ものすごく落ち着いた顔をしていたのだ。そして最後には、先に書いたように闘志あふれる形相に変わったのである。彼はついに、自身の感情をコントロールする術を身に着けたのだろうか。私なんかは、この表情を以て、今日の豊昇龍の優勝を半ば確信したくらいだ。

先に、大関を量産されても困ると書いたが、今回の豊昇龍に関しては昇進に全く異存はない。3場所で33番だかという暗黙の基準があるらしいが、関脇での優勝、そして同じ相手に二度不覚を取らぬ強さと技術と研究熱心さ。文句のつけられようはずがない。願わくば、これを機にあの傲慢さがまた出てこないことを願うのみだ。

ついでなので、決定戦の相手だった北勝富士についても一言書いておきたい。私はこの力士も評価できない。まず、余計なパフォーマンスが多すぎる。無駄に勢い込んで塩を取りに戻り、塩を持った後で十字架を切るかのようなしぐさを見せ、最後の仕切りでドスンドスンと両足で音を立てる。彼が信仰上の理由で十字架を切っているならあまりうかつなことを言っては申し訳ないのでそれについては撤回しないといけないだろうが、それ以外はつくづく無駄な所作に見える。

いや、所作については好みがあるから、あれこれ言うべきではないかもしれない。しかし、もう一つ評価しない理由がある。この人は、相手と立ち合いを合わせる気がないと思うのだ。

相撲の仕切りというのは、立ち合いを合わせるための準備の時間でもある。徐々に所作のタイミングを合わせていって、最後すっと立ち合いができるようにするための時間だ。

相撲の仕切りの時間や回数にルールはあるの?仕切り線の長さや間隔はどのくらい? (sumo-sekai.com)

しかるに、この力士は全くその気がない。まさか、相手に一方的に自分に合わせろとでも言うのだろうか。それは傲慢以外の何物でもない。

この力士に限らず、立ち合いで手をつくのが遅い力士が近年目につく。それは自分に有利なタイミングで立つための駆け引き、らしいが、見ているこちらからすると、ただ緩慢なだけでイライラさせられる。力士たちに問いたい。あなたたちは、仕切りを、立ち合いを、何だと思っているのですか? そして親方衆に言いたい。もっと仕切りや立ち合いについて、きちんと指導していただきたい。

なお、決定戦含む千秋楽に関する記事は、例えばこちら。
負けて強し!19歳伯桜鵬が技能賞と敢闘賞 朝乃山が再出場4連勝で勝ち越し 豊昇龍初V&大関昇進確実(スポニチ) | 毎日新聞 (mainichi.jp)

★4 再出場力士の明暗

最後に。霧島はやはり休むべきだったと思う。横綱大関不在ではかっこつかないし、自分の地位も考えたのかもしれないが、意欲だけではどうにもならないこともある。それに彼はまだ先も長いだろうから、今場所は休んでほしかった。6勝できたのは立派だが。

一方の朝乃山。特に昨日今日の相撲は見事だった。ケガが心配なのは無論だが、意地と執念を感じた。もともと素材がよいだけに(中身は知らん)、けがをしっかり治して来場所も頑張ってくれたらと思う。

以上、案外語ることが多くなってしまった。最後までお読みいただき、ありがとうございました。厳しいことも今回は書いていますが、特に仕切りや立ち合いについてはかなり前から強く思っていることであり、せっかくのこの機会に書かせてもらった次第です。

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