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ザ・ドキュメント・オブ・共テ国語2024 第8回(古文2)~大学受験生応援コラム1月

本文前半を読む


’** 0 はじめに ***

当コラムに目を留めていただき、ありがとうございます。大学受験国語の勉強に資する内容提供を目的として書いています。

試験場で、講師はこんなことを考えて解くというシミュレーションとして読んでいただければと思います。

’** 1 問2を終わらせます ***

では、本文を読みながら設問を解いていきますか。

第1段落。雪が降りそうだというのをきっかけにして桂の別邸へ行くことを急に思い立つ主人公。ということは、目的は雪見。いつもなら「有職」を引き連れて外出するところ、今回は急な思い付きだったので、手近の部下を数人引き連れて行くことにしたという内容。

意味が分からなくても支障はないが、2行目の「有職」は知識人くらいの意味。「職」は実は当て字らしく、元々は「有識」だったそうな。知識のある人=知識人ということ。

それにしても、桂という地名といい、2行目に出てくる「源」少将や「藤」「式部」といい、やけに『源氏物語』を連想させる名詞が多い。と思っていたら、問4の文章の冒頭にいきなり言及があった。これはやはり、本文と問4とを交互に見ていった方が良さそうだ。

問4の解説文を見ると、本文12行目の和歌が問題になっているようなので、まずはそこまで本文を読み進めよう。

第2段落。桂へ向かうくだり。結局雪が降り出したようで、外出してよかったですねえ。

で、ここでは問2の選択肢のうち、3つが処理できる。といっても、選択肢①=波線部aは処理済みなので、残り二つ。

選択肢②=波線部bは、雪がやんでしまったことに対して、主人公が悔しがるものの、「だからといって、自邸に引き返すのも人目が悪い」と述べているところ。選択肢②後半の説明と一致するので、答えはこれでいい。

念のため、選択肢③も見ておこう。試験場では、②が間違いないと思ったら③以降は見なくていい。

選択肢③=波線部cは、雪が激しく降ってきたので山も河原もあっという間に雪景色になってしまったと述べているところ。③の後半のように、人の顔色が変わったわけではない。

これで問2は終了。残りの④⑤は出てきたときに一応説明を入れます。

’** 2 問5に少し手を付けます ***

第3段落。主人公が和歌を詠む場面。一応引用する。

ここもまた月の中なる里な(る)らし雪の光もよに似ざりけり
*(る)は無表記を補ったもの

ここは助動詞「らし」がポイント。この助動詞は「ここも…月の中なる里」なり、というのが根拠のある推定であることを示す。根拠は歌の後半だと判断していい。有名な和歌である

春過ぎて夏来たるらし 白妙の衣干したる天の香久山

と構造的には同じ。これも「夏が来た」と判断した根拠は下の句の光景だ。

ここで問4の(ⅰ)を解こう。空欄Ⅰは今説明した「ここも…月の中なる里」なり、という判断の根拠を問うている。従って、和歌の下の句「雪の光もよに似ざりけり」を訳したものが答え。

「よに」が紛らわしかったですね。副詞かと思ったが、今回は名詞+格助詞の「世に」だったみたい。答えは②でいい。

あ・・・まだ12行目まで行けていない(焦)。でも、今回はここまでにしましょう。


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