壁(現代詩に初挑戦)

私の前にある
高くて大きな壁は
すきとおっているけれど
打ち寄せる人々の波の
防波堤だ
こちらは壁の外
そしてあちらも壁の外
壁にははしごがかかっている
触れるとそれは向こう側
どうかみなさん
そんなものには足をかけないで
自分のことばかり
考えていてくださいと
祈る
こっちにおいでと
もしもだれかの手が
壁を通りぬけて
私の手を引っ張ったら
ごつんとおでこを壁にぶつけて
眼球を裏返しにして
暗い頭の中を照らし
好きな言葉を集めよう
それらを連ねながら
壁に沿って歩いていれば
曲がり角も
いつかは見つかろう

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