詩 テントウムシの絵筆

手のひらを大きく開いて
大気にさらす
とまったテントウムシが
宙に打った一点
そこが私の中指の爪のありか
とコトコトはって降りていく
くすぐったい
谷底へ降りたかと思えば
また登りにかかる
ほんとうにくすぐったい
急に止まって一休み
テントウムシは私の絵筆
人差し指のてっぺんから飛び去っても
くっきりと見える
初夏の空に描かれたVの字

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