詩 せみの目

高所と閉所のW恐怖症も
目が見えなくなると
なんてことない
ハーブ園行きのロープウエイ
友の誘いに
二つ返事で乗り込んだ
まぶしい揺らぎの中に
運び出された友と私
パシャパシャと
シャッターを切る
友の背後の肩越しに
スマホを構えて
せみの大合唱を
私もパシャリ
一瞬見えた
セミの目に写った景色
青空と小さなゴンドラ
中年女が二人
箱詰めされて
ロープにつるされている
せみの目で
撮った写真は
実にシュールだ

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