詩 ねんねこ

昔むかし
ねんねこに包まれて
母に負われるのが
何よりも好きだった
真っ暗で温かい
あらゆる音が
真綿でくるんだように
ほの白く
暗がりに灯った
そこは小さな宇宙だった
でもまどろみの奥底に
あらがえない
波の音でもなく
鼓動でもない
母も私もそこにくくりつけられて
巨大な力で引かれる感覚
あれはなんだったのだろう
地球が回る音?
秒速463メートルの
風の音だったのだろうか

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