現代詩 おばあちゃんの寝床

点滴のチューブが
おばあちゃんの体を
おなかのあたりで二つに分けている
枕の上の茶髪の頭は
絶え間なく生まれる時間に
かわるがわる抱えられて
どこかへ運び去られてしまった
でもはだしの足は
昔へ昔へと伸びて
いつかのステージの
ハワイアンに絡みつく
気ままに舞う
十枚の爪
光の尾を引いて
細かいふるいを編み上げる
風に舞う
氷点下の粉
炎天下の砂
そこに太陽は
命をあまた寝かせて去った
しゃれこうべと足跡模様の
夜空の色のシーツ
ざわんざわんと
波のように引きずって
太陽が
おばあちゃんの寝床を敷きに
すぐそこまできている

すぐそこまで来ている

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