感謝が人生を変えていく【人生工学 第Ⅲ部:実践の章 第10章 感謝①】

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では、早速

第Ⅲ部:実践の章


さて、世界観や理論は色々とわかりましたが、これをどう用いたら人生を好転していけるのでしょうか?人生が上手になるためのラクな方法、知りたくないですか?ここからは人生工学を用いて人生をよりよくしていくための、具体的な方法について話していきます。

第Ⅲ部では大きく「感謝」「自分を満たす」「統合」の3つを見ていきます。発展形に「無意識を鍛える」があるのですが、この本では3つに注力します。何よりも第一の「感謝」が重要になります。2つ目、3つ目の「自分を満たす」と「統合」も、もはや本質は感謝になります。人生工学の実践は、感謝に始まり感謝で終わります。具体的にどの様な実践をしていくのか、その理由と合わせてお届けします。

第10章 感謝

感謝をしっかり実践するだけで、驚くほどに人生は変わっていきます。

本当の感謝とは何か?
感謝とは、「有難い」という感覚です。逆にいうと「嬉しい」とは近いものの、意味は異なります。プレゼントをもらって「嬉しい」、自分達が勝利して「嬉しい」にも「感謝」が当てはまりそうですが、感謝とはもっと広く深い意味にあたります。
自分が嬉しいから「ありがとう」ではなく、”当たり前ではない出来事”だから、文字通り「有り難う」なのです。実際、「ありがとう」の語源になっている「有り難し」という言葉は「存在することが難しい」「滅多にない」の意味でした。

つまり、現代の様な「嬉しい、尊い、喜ばしい」というだけが「有難い」のではなく、「大きな病気を患ったこと」や「大切なものを失ったこと」も経験として珍しく、「有難い」はずなのです。

実際、人生工学の世界では、全てはエネルギーであり、そしてニュートラルです。いい経験も悪い経験も、意味ありげな出来事も、無意味に思える出来事もすべてが「有難い」のです。さらにエネルギーを前提とし、この世界も自分の意識が生み出したものにすぎないと考えるのであれば、今目の前に世界が存在していること、自分が命を取り留めて、意識をモテていることだけでも「有難い」のです。

そう、過去にすでに起きてしまった、一見マイナスなことも受け入れるという意味で、本当の感謝とは非常にニュートラルな感情です。この「有難い」に気づく行為や、気づいた心の状態こそが「感謝」にあたります。

感謝はリラックスを招く

「本当に今、自分が感謝できているか?」を確認する分かりやすい方法がわかります。
を確認する時は、体がリラックスしているか?を確認するといいです。感謝ができている状態では、体と心の緊張がとけてリラックス状態になります。

リラックスしていると、肩の力が抜け、ハリも減り、首筋の「胸鎖乳突筋」をつまんでも痛くはありません。リラックスの反対は「緊張」です。自分がどの程度リラックスできているかどうかは、意識すればすぐに確認できる方もいると思いますので、その確認方法でも十分です。

本当に感謝している時はリラックスできていると考えると、時に嬉しい出来事があったとしても、感謝の状態でないこともあります。例えば部活の地区大会で優勝した時も「よっしゃー!」というドーパミン的な達成感に100%溺れていては、感謝の状態ではありません。その場合、全身に強く力が入り、大変な緊張状態にあるでしょう。しかし達成感が薄れ、支えてくれた人や、今まで努力した過去の自分に気持ちをはせることができれば、「滅多にない、尊い経験だった」と自覚し「感謝」の気持ちが湧き出てくることでしょう。

そしてリラックスすると、さまざまな良いことがあります。緊張状態では「ストレスからの退避」を第一に考えています。すると視野が狭くなり、考えも感情も守りに入ります。例えば人前でスピーチをすることは、大変緊張すると思います。スピーチの直前、ステージの袖でギャグを言われたとしても、なかなか普段通りに反応して笑う余裕はないことがあると思います。また、テストの残り時間ギリギリの状態では、頭が緊張して焦っている状態になり、なかなか柔軟な発想はできなくなるでしょう。
逆に、リラックスしている状態では脳にゆとりが出て、アイディアも浮かびやすくなります。小説家や芸術家、起業家をはじめとして「天才」と言われる方々は、多くのアイディアを仕事中ではなく、リラックス中にひらめいているという分析もあります。ふとウォーキングしている時間、プールを楽しんでいる時間、コーヒーを飲んでいる時間などを意図的に設けることで、閃いているのです。

そしてもちろん、リラックスしている時の方が「余裕」が出るので、目の前のこともシリアスになりすぎず楽しみ安くなるでしょう。精神的に苦しい状態というのは、将来のお金の不安や人間関係の不安など、なにかしらの「ストレス」に晒されて心や全身で緊張状態が続いていると考えることができます。そういう時に感謝を実践しリラックスできれば、それだけで心が安らぎ、状態が改善していくことでしょう。

またリラックスしていれば、からだの緊張が抜けるので、こりやハリの負担も減るかもしれません。体の緊張がとけるぶん、からだに疲労が蓄積しづらくなり、熟睡効果も期待できるでしょう。

最高の魔法:「ありがとう」と声にするだけ
では実際に、どの様にして本当の感謝をしていくのか?結論はシンプルです。「ありがとう」と言うだけ。ただこれだけです。誰にでもできることだと思います。まずはただ、「ありがとう」と声に出すのです。日常のさまざまなシーンで、「ありがとう」と口に出してください。まずは1日に1回起きた時に、寝ていたこと自体に「ありがとう」と言うだけでOKです。それだけでいいのです。

もちろん慣れてきたら、「ありがとう」に感謝している感情を強く表現したり、一見「当たり前」と思う様な色々なことに「ありがとう」と言っていくといいと思います。しかし質や回数をあげていくのは後からでも構いません。とにかくまずは、気付いたら「ありがとう」と声に出す。これだけでいいのです。もしそれも難しいというかたは、心の声にするだけでも構いません。「ありがとう」とはっきり、心の中で唱えていただければ、それだけで人生が変わっていきます。

さらに感謝を深く実践していくことは大変重要になります。ここからは日常でも効果が出やすい感謝の2つの形について、お話ししていきます。

感謝の実践法1:受容する(認める)

1つ目は仕事やプライベートでもすぐに効果が出てくる感謝の実践方法になります。「受容」とはつまり「認める」ことになります。肯定という言葉を使ってもいいかもしれません。どうしても生きていると、嫌なことや辛いことなどあると思います。しかし思い切って、それを「認める」という態度をとってみましょう。これは「理解をする」とか「どんなことにも同意をする」とか「どんなことも好きになる」と言うことではないのです。「まず一度受け止めてみる。」というくらいの意味合いで、受容してみましょう。

たとえばプライベートで、「鈴木さんって、ちょっと自己中心的なところあるよね?」と言われたとします。無視することも反論することもきっと可能でしょう。鈴木さんにはきっと自己中心的でないふるまいもあるでしょうし、本当は鈴木さんは「自己中心的」からはほど遠い存在かもしれません。
でも人生工学では、一旦立ち止まって受け入れてみる。その話をしてくれたこと自体を”有り難く”思い、感謝する。その話し手には鈴木さんが”自己中心的に見えた”と言うことになります。なぜそう見えたのでしょうか?なぜそれを伝えてくれようとしたのでしょうか?考えてみたり聞いてみてもいいかもしれません。

そこに何か、自分の視点や考え方を広げる様な新しい発見があるかもしれません。もし本当に鈴木さんに「自己中心的」と思われやすい言動があるのならば、それを変えることで人間関係もどんどんよくなっていくでしょう。批判されること、ダメ出しされることは、何より成長や変化のチャンスにもなります。

どんな話であっても、話し手の世界(意識)の中では、それを話すことが「正しい」と思うから話しているわけです。そこには話し手なりの「正義」があります。どんな話も認めてあげて、相手の見えている世界をとらえようと構えていただければ、遅かれ早かれ相互理解が進むことになります。これは12章の「統合」にも繋がっていきます。

もちろんこれは仕事でも活きてきます。仕事をしていると、自分と反対の意見が出てきたり、自分の理解できない話が出てくることがあるでしょう。その様な話が出てきても「それは違うだろう」と直ちに否定するのではなく、発言自体を認めると言う意味で、感謝すると良いでしょう。つまりただ「それは違う」と言うだけではなく、感謝から始める必要があります。「発言ありがとう、しかしこういう理由でそれは間違いだ」という表現をしたり、あるいは心の中では感謝を認めつつ、「こういう反対の見解についてはどう思うのか?」「こういう事実はあるがあなたはどう思うか?」「私が思うにはこうだと思うが?」など”相手の発言は認める”態度を含んだ表現にするだけで、かなりコミュニケーションのしやすさが変わってくるでしょう。

この態度は、チームの心理的安全性に関わります。心理的安全性とは、「チームの中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる度合い」を表す言葉です。Google社の”プロジェクト・アリストテレス”という研究では、チームの生産性と相関することは、個々の能力の高さよりも、チームの心理的安全性であることがわかりました。どんな内容であれ、発言したことや、発言しようとしていた”態度”については、積極的に認めて、感謝し、むしろ賞賛することはポジティブに働くでしょう。もし直ちに否定することがあれば、チームメンバーは「話しても否定される」と無意識に学習してしまうので、次第に重大な気づきや提案、さらには報告であっても、話さない様になるでしょう。メンバーにとっては「怒られないように振る舞う」ことも、立派な1つの正義ですから。

「どんなことでも、まずは認める」と言うのは素直さや誠実さに直結するものになります。わたしは企業の採用責任者をつとめ、他社の採用基準なども積極的に学習しましたが、その中で一つ会社を超えて共通する1番の採用基準は「素直かどうか」でした。まずは認める素直さがあれば、たとえ初めは失敗ばかりで能力がない人であっても、上司や周りからのフィードバックをどんどん吸収していけることでしょう。話をしっかり聞き、フィードバックをもらうことに感謝もするからこそ、上司や周りもさらにフィードバックをするでしょう。素直でないと逆のことが起こります。

それだけ受容の感謝は、現実世界を好転させる、わかりやすい実践方法になります。
注意点として、ネガティブな言葉や口撃については、認めた上で受け流すことをオススメします。とても愛があるとは思えない、フィードバックというより「悪口」を耳にした場合は、「ふーん」と事実は認めつつも、さっと話題を変えるか、その場を離れるといいでしょう。しっかり受け止めてしまうとしんどくなりますし、言い返すとさらに相手からネガティブな言葉が飛んできます。そうするとネガティブなエネルギーが膨らむ一方です。受容する、認めることと「耐える」ことは一緒ではありません。

まずは起きていることを、ありのままに「認める」意味での感謝を実践してみましょう。「ありがとう」と声にするか、心で唱えることができれば十分です。

↓感謝の実践方法2につづく…↓



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