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33歳(独身女)の誕生日に1人でディズニーシーに行ったら大嵐がきた。

ふと思い立ったのだ。

来月は自分の33回目の誕生日。
配偶者も恋人もいない。友人の9割は結婚している。
予定は入っていない。
最近youtubeで「自分の機嫌は自分でとろう」と言っていた。

そうだ。
誕生日はディズニーシーに行って自分をとことん甘やかそう。

夢の国に行けば自分の機嫌くらいとれるだろう、いつも思いつきで行動する私ならではのよく訳のわからない考えだった。私は旅行会社に8年勤務していたため、旅行の手配は得意である。各社の空席・料金を素早く確認し、あっという間に航空券とホテル、ディズニーシーのパスポートを予約した。運良くディズニーシーの人気レストラン「マゼランズ」の予約をとることもできた。誕生日の2週間前のことであった。

思い起こせばここ5年婚活を続けているものの
どうにもこうにもうまくいかない。
私の婚活は半端なものではなく、これまでお会いした異性の数は3桁をこえる。ここでは語りきれないため婚活ネタはいつかの記事に取っておくことにしよう。
まさか自分が33歳まで独身で、その誕生日をひとりで、しかもディズニーシーで過ごすなんて思ってもみなかった。

まあよかろう。生きてるだけで自分えらい。自分で働いたお金でディズニーシーに自分を招待するのだ。えらいえらい。自分すごい。
そのようなことを何度も考えながら迎えた誕生日の3日前、私は携帯を睨みつけた。





台風がきている。



私の誕生日は秋の台風シーズンで、台風により誕生日に学校が休みになることが数回あったと記憶している。
でも今回は困るのだ。
まさに誕生日の関東圏の予報は台風。
飛行機が飛ぶかもわからない。
「厄年こわっ」心の中で厄年のせいにして、心を落ち着かせた。


飛行機が飛ぶなら行こう。
そう決めて誕生日当日を迎えた。


なんとか羽田空港に到着したが、東京は大嵐だった。不急な外出は控えるべきと思ったが、その日はディズニーシーも開園していることをHPで確認し、舞浜へと急いだ。
これまで何度か夢の国には訪れたが、いつもの京葉線とは違い、ディズニーシーに行きそうな人は見つからなかった。





舞浜駅に到着し、ディズニーリゾートラインでディズニーシーまで移動し、パークに入って思わずすぐに写真を撮った。
あの地球儀の前に誰もいないのだ。
こんなディズニーシーは始めてで、ワクワクしながら冒険にむかった。

ひとっこひとりいないディズニーシー


どのアトラクションもほとんど並びの列はなく、
まさに夢の国であった。

一通り楽しんで夕方になり、天候が落ちついたころ
ディズニーシーは少し賑やかになっていた。
あかりが灯りはじめた街を眺めながら、予約していたレストラン【マゼランズ】に向かった。

マゼランズはディズニーシーの中でも
〝高級”の部類に入るコース料理が楽しめるレストランだ。
今回の【33歳誕生日ディズニー】はアトラクションを楽しむのはもちろんであったが、落ち着いてディナーをいただき、33歳を楽しみに生きるモチベーションに繋げるのも目的の一つであった。

如何にも高級そうなレストランに到着すると、私は自分にできる最大級の澄まし顔で入店し、着席するなり、優しそうなキャストのお姉さんに小声で伝えた。

「すいません…私今日誕生日なんですが‥」




お姉さんはにっこり微笑んで、祝福の言葉をくださった。
マゼランズでは誕生日であることを伝えると、デザートに「happy birthday」のプレートを準備してくれる、とネットでみた。

誕生日なのにひとりかよって思われたら辛っ。そんなことも頭によぎり、当日まで勇気が出るかわからなかったが、いつもと違う穏やかなディズニーシーでとことん楽しみ心がほぐれた私は、優しそうなお姉さんの笑顔の助けもあって、誕生日であることを伝えることができた。

名前入りの誕生日プレート(マゼランズ)



心もお腹も満たされて外に出るとすっかり日が暮れ、そこには煌めく海が広がっていた。








友人と同僚に少しのお土産を購入し、舞浜を後にした。

翌日は都内に住む友人と合流し、思いがけず誕生日プレゼントをもらい、振り返ると、自分の機嫌は周りの温かい心により保たれているのだと感じるのであった。







あれから2年が経つがあいにく未だに独身であるが、自分なりに人生を楽しんでいる。

大嵐のディズニーリゾートにはもう一生巡り会えないかもしれないが、最高の誕生日であったことをこの先も忘れないであろう。




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