【書評】マンガーの投資術 デビッド・クラーク

概要

長らくバークシャーハサウェイの副会長を務められたチャーリー・マンガー氏の発言をまとめ解説を加えた箴言集といった本。
本の性質上教科書的に体系立てられているわけではないが、教訓として記憶にとどめやすく、個別具体的な方法論と同様に有益な1冊。

何か突飛な視点が提示されているというよりは、すごく平凡なことが書かれた本という印象があり、真似ができないのは気質やメンタルの強さによる部分が大きそうだ。時々自分の行動がずれてしまっていないかをチェックするうえで、手元においてパラパラと時々読み返す価値のある本だと思う。

今回は本書からの学びを以下の3つの視点に絞っていかに箇条書きで示す。

  1. 基本姿勢

  2. 投資すべき時

  3. 良い投資対象について

学び

基本姿勢

  • それさえ知っていれば成功するといった魔法の法則はない

  • 失敗や愚かさを認める

  • 理解できる範囲に集中する

  • 理解できる範囲を広げるための学習を止めない

  • 勝算の高い時に勝負できるだけの資金を準備しておく

  • レバレッジをかけてはならない

  • 計画通りに物事は進まない、常に現実と向き合う

  • 株価下落に耐える

  • 加熱した市場で稼ぎそびれることに耐える

  • 長い時間をかけ価値が積み上がり市場が評価することを待つ

投資すべき時

  • 絶好の買い時が来るのを待つ

  • 勝算の高い時に大きく集中して賭ける

良い企業について

  • 経営者ではなく事業の質に賭ける

  • 良い企業は値上げをすることができる

  • 良い企業は利益を現金で手元に残すことができる

  • 良い企業は困難な意思決定が必要ない企業である

  • KFSに注目する

  • 無益なM&Aは企業価値を毀損する

  • テクノロジーがどう使われるかに着目する

総評

マンガー氏の各所での発言をまとめて解説したものなので、そもそもの物の見方・考え方を学ぶことができる。同時に悪く言えば総論的な考えを見て分かった気になってしまう本ともいえる。
発言の基にある哲学を実践に移すためには具体的な方法論はきちんと学ばねばならない。
方法論を学ぶことで改めて哲学の意味が分かることもあるので、哲学と方法論をバランスよく学ぶようにしたい。


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