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【書評】わが投資術_市場は誰に微笑むか

書籍情報

書名:わが投資術_市場は誰に微笑むか
著者:清原達郎
出版社:講談社
出版年:2024年

概要

かつて高額納税者の個人情報が公表されていたころ(今にして思えば信じられない話だが)、全国で1位になったことでも有名な清原氏の著作。
投資手法の説明・過去の運用の振り返りに加えて自伝的内容も含まれている。
投資手法の説明は「割安小型成長株」への投資が中心で、なぜ、この手法が有効なのか?どうやって対象銘柄を探すのかに加えて、ポートフォリオを組み立てるうえで重要なベイジアン的発想という考え方も面白かった。加えて、思い出話などのエッセイ要素も面白い。

以下2点について評する。
1.       投資手法の解説として
2.       エッセイ裏話として

詳細

1. 投資手法の解説として

著者自身の投資では空売りやイベントドリブンな投資なども行われているが、本書で読者に勧めている投資法は「割安小型成長株投資」である。決して新しい指摘ではないが、「割安」「小型」「成長」の3つの要素がどういう意味でなぜリターンをもたらすのか?きちんと理解できるようになるはずである。
また、投資開始後も新しい情報を取り入れていくうえでも、ポートフォリオの設計をする上でもベイジアン的発想は非常に役に立つと思う。

その他に、やるべきではない投資や舞台裏のバタバタ・失敗談について書かれていることも良い点だと思う。やるべきでない投資はやらなければよいだけなので、失敗する恐れがない役立つ知識と言っても良いと思し、著者の様に成功した投資家でも率直に言って雑な投資や失敗をしているというのは良い勉強になった。

2.エッセイ・裏話として

金融業界の裏話や面談したダメ社長のエピソードなど、面白い話が書かれており、読み物として期待していた以上に面白かった。私の興味は著者の投資手法だったので、2章の経歴紹介のパートは飛ばして最後に読んだのだが、読み物としてはこの章が一番面白かった。”40年前”の野村証券のお話などなかなかな話だった。

総評

本書はバリュー投資の立場から書かれている本で、どういう理屈で投資が成功するのか、どうしてその投資ではリスクを小さく抑えることができるのかを理解するうえで役に立つ。また、割安小型成長株投資は個人投資家という立場が有利に働く投資手法でもある。
少し構成的に読みにくい部分もあるが、裏話的な内容も面白いのでお勧めの1冊。


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