⑤母親とお金

やっと解放されたなぁ

父親が亡くなってお葬式の日、母親は祭壇の前で「やっと解放されたなぁ!」と言った。

いくら嫌いでも、祭壇の前で言うか?
昔から亡くなった人の悪口も言うので、そういうところは本当に嫌いだった。

何を言っても聞く耳のない人だけど、亡くなった人を悪く言うのはやめてと、それだけは母親に何度も言った。
聞きたくない。

しかもさ、「解放されたなぁ」って。
私を自分と一緒だと思ってるので、私も解放されたと思ってるようだ。
私はまだ解放されてません。
父親より、もっと酷いのが残ってるっつーの。

父親から解放されてウキウキの母親は、父親のおかげ、いや会社のおかげか、たっぷりある年金で毎日テレビを見てガハハと笑っている。

弟からの電話でゴキゲン

父親が亡くなったあたりから、弟が母親にご機嫌伺いの電話をしてくるようになった。

今まで知らん顔だったのに、最近になって急に気遣うようになった。
父親が亡くなって、今まで無関心だったことに何か思うところがあったのかもしれない。
奥さんがとても良い人なので、お母さんを大事にするように言われているのかもしれない。

何ヶ月かに一回の電話が、母親には嬉しくてたまらない。

可愛い息子が気遣ってくれる。
やっはー、お金あげたい。
家を売ってお金あげよう。
あんた早く出ていきや。

短絡的。

母親は昔からお金だけの人。
実の姉にも、守銭奴と言われている。
お金でなんとかすればいい、が口ぐせ。

弟なりに後悔のないようにすれば良いとは思う。
でもこんな短絡的な母親に嫌なことを言われる私は、勘弁してくれよ、最後だけずるくない?という気持ちになってしまう。
弟だけでも幸せでいてくれたら良いとずっと願ってきたけど、その気持ちさえ、母親のせいで嫌な気持ちに支配されそうになる。

お金で縛り付けるタイプ

私にも、何かあるごとにお金を渡してくる。
それってお金をむしり取るタイプの毒母に苦しんでいる人からしたら、恵まれてると思われるかもしれない。
たしかに、借金したりお金の無心ばかりするタイプの毒親と比べたら、お金の面ではまだいいのかもしれない。
でも母親がお金を渡してくるのは、決して私のためではない。
自分に縛り付けておくためと、借りを作らないため。私をもっと利用するため。
自分が、やってもらってるという弱い立場に立たずに、私を支配する側に立つため。

お金のためにやってきたわけでは無いので当然断るんだけど、いらないって言っても耳を貸さない。
いらんっていってるやん!と怒り気味に言うと、倍返しで怒ってくる。
めんどくさい。

お金を渡すことで優位に立とうとしているので、意地でも渡してくる。
お金を渡してるからやってもらってると思わなくて済むし、人に自分がやったかのように話すことが出来る。
私がやってきたことも全部自分の手柄。
大変やったんよ〜、と人に自慢げに話している。
お金を払えばなんでも済むと思ってるから、迷惑かけないようにしようとかいう考えもない。
また何かあれば、お金で私を動かせばいいと思っている。

大金を受け取ってるなら文句は言えないけど、基本ケチ。お金を渡されてるから仕方ないか、と思うには足りない。
私の時給、いくらだと思ってんだ。
私の人生、なんだと思ってんだ。


それでも贅沢だと思われるかもしれない。
でもお金で解決、支配しようとする母親を、人として尊敬できない。
愛情も感じない、頭を撫でてもらったこともない、抱きしめてもらったこともない、手を繋いで歩いた記憶もない、お金だけの情のない親。

私が一生懸命やってきたのは、お金が欲しかったからじゃない。
お母さんを助けられるのは私だけ。
ただ自分の存在を認めて欲しかっただけだ。
褒めてもらったこともないから、ただ褒めて欲しかっただけだ。
私のことを好きになって欲しかっただけだ。

お金を渡すというのは害がないように見えて、さらに心をズタズタにする悪魔の方法だと私は思う。

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