イヤホンと窓


耳に流れる音を聞きながら
薄れていく景色を見つめている

たった今見たものが
もう違うワンシーンに塗り替えられていく

並ぶ木々や動く乗り物を見て
僕は一体何を思うか
誰も知らない

一度だけ視線を外す
一瞬だったはずが
外はすっかり藍色に染まっている

建つ家々
街の騒々しさを目で見つめている
賑やか    五月蝿い
どちらに言えようか

僕が僕を眺めている
心の内を見透かされそうで
逸らせばもう目は合わない

前に見えるは進む道
僕に勧める未来の意
蹴りたいが足が伸ばせない

もうすぐ着く
暗いメロディへ転調
建物が少なくなってきた

音が減った
近づく終わりを知らせている
雨がひと粒叩かれた

着いた
音は止まった
雨が降っている

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