砂時計


やぁ
久しぶりだね
元気にしているかな?
今日は貴女にあることを伝えたくて筆を手に取ったんだ

もう砂時計の砂はとうに落ちきってしまったね
残りの砂の量を確認したときには
既に遅かったのかもしれない

砂時計を逆向きにして砂が落ちるまでの時間を増やすこともできたはずだ
でも僕はそんなことはしなかった

貴女と共に築いてきた大切な思い出がめちゃくちゃになるような気がしたんだ

だったらたとえ限られた時のなかでも
別れがどれほど辛くとも
今横にある貴女の笑顔を脳裏に焼き付けて
大切にしたいと思った

いつか砂時計の砂が落ちきったら
それが別れに等しいときとなってしまう
そんな事実を貴女に伝えると
互いの頬に一筋宝石が散ったね

砂が本当に残りわずかになったとき
僕は何度運命に逆らおうとしただろうか

どれだけ願っても
そのうちに時は過ぎ去っていくものだった
今でも隣に貴女がいればと思わない日はないさ

出来ることなら一秒でも長く時を刻みたかった
今だって一緒に、、、いや     やめておこう
長くなってすまなかったね
腕が疲れてしまったよ
コーヒーでも淹れようか

時計の音が
今夜は耳障りだ






天国のお母さんへの手紙
「僕」と「母」の物語fin後

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