空白期間の私

皆様、お元気ですか?
私は元気です。
メンバーの須田マドカです。

私が所属する演劇ユニット『フロアトポロジー』の前回の公演から、2年近くが経ちました。
本公演からだと、もう3年が経ってしまったようです。

この3年で、世の中はガラッと変わってしまいました。
未知の病原体が世界に蔓延るなんていう、本当にSFの世界のようなことが現実に起こってしまいました。きっと3年前の人たちが今の、夏なのに街ゆく人がみんなマスクをしていたり、テレビの中に謎の透明な板が並ぶ光景を見たら、『え?何?なんで?』と思うことでしょう。

私はというと…
私にも、この3年で色々な変化がありました。
まず一番の変化は、東京に出て一人暮らしを始めたことです。
けど、その後すぐに新型のウイルスが世界中で猛威を振るいました。
全然思ってた一人暮らしと違いました。
『終電気にしなくてよくなるし友達とも近くなるし毎日飲み行っちゃうかなあ〜』なんて思っていたら、瞬く間に人に会ってはいけない世の中になり、ずっと家の中でひとりぼっち。
不安で心細くて、寂しくて寂しくてしょうがなかった。

そんな中、2020年の10月に行われたフロアトポロジーの公演『君の様に鳥が啼く』。
客席まで全て使い無観客・配信のみで行われたコロナ禍真っ只中での公演は、私たちにとって初めてのことばかりでしたが、試行錯誤しながらみんなで作り上げ、忘れられない公演となりました。

それが最後のフロトポ公演。
それから私は何をしていたかというと…
何もしてないに近いです。お芝居関連は…
もっと人間として、動物として根本的なものと戦っていました。
『生きること』です。本当に本当にそれで精一杯だった。
コロナ禍で、自分で自分をどう養っていくか、自分の精神をひとりきりでどう保つか。一人暮らしになってしまったので、自分を守れるのは自分しかいなくなったからです。
普通の人が10年くらい前に経験してること、通らなければならなかったことに、今このタイミングで向き合わされた気がしています。
この2年間、何もせず無駄だったかなーとも思いますが、私の人生の上では絶対に必要な時間だった様な気もします。

その間、一回だけ、お芝居をしました。
とても嬉しいご縁から、人生で初めて映画に出演させていただいたのです。『階段の先には踊り場がある』という映画です。フロアトポロジーの公演のDVD用の映像をいつも撮ってくださっている、木村聡志監督の作品。
人生初の映画撮影の現場は、初めてばかりで慣れないことも多かったけど、とても楽しくて…映画館でスクリーンに映る自分やエンドロールに流れる自分の名前を見た時は、本当に本当に嬉しくて涙が出た。

そして、思いました。

これで終わりたくないな、って。

本当に本当に、この2年間、素敵なことも辛いことも色々あって、私だけじゃなくて世の中も辛いことの方がたくさんたくさんで、
正直お芝居どころじゃなくて、全てを諦めかけていたけど…
少しづつひとりにも慣れてきて、強くなって、落ち着いて、私個人として何がしたいか、自我も芽生えてきました。
そして今、一つ新しい目標ができました。
海外の作品に出演することです。
海外でも活躍できる人間になりたい、うっすら頭の片隅でずっと思っていたけど、コロナにより諦めかけていたことです。

今、英語での演劇を勉強しています。課題でパンクしそうになることもありますが、やっと今、なんか生きてる感じがしています。
あと、今これ書いてて思いましたが、やっぱり私、文章書くことも大好きだなあ…。これも私が、生きてると感じられるもののひとつです。もっと書きたい。脚本も久しぶりに書きたいな。色々作品作りたい。

そして、フロアトポロジーとして…。
また、動き出す様です。動き出します。ゆっくり。
一個前の愛美理さんの記事を見てもらえばわかると思いますが、フロアトポロジーは愛美理さんと脚本の角畑さんの想いの結晶です。…その中で、『私に何ができるだろう』、『私の役割は何だろう』といつも考えていました。同志として切磋琢磨し私の中で大きな存在であった詩織ちゃんがフロアトポロジーを離れ、メンバーが3人になってからは、特に考えました。
私は、何なのだろう。

私の存在も、私なりにもっと意味を持たせられたなら。何か残せたなら。
今はただ、お芝居をもっと上手になって、人間的にも魅力的な女性になって、お二人にもっと誇りに思ってもらえるような役者になりたいです。

お二人には、お芝居初めたての頃からセリフや出番を下手とかそういうこと構わずいただいて、本当に感謝しています。きっと目も当てられなかったことと思います。それなのに私を使ってくれたこと、セリフをくれたこと、出番をくれたこと、本当に嬉しくって…お芝居の楽しさを教わりました。
今でも初めて客席から見たフロアトポロジーの公演を覚えています。感動して『いつか出たいです。』とアンケートに書いたこと。

ここで終わってしまうのは、なんか悔しいです。
私は、まだ終わりたくないです。

フロアトポロジーも、またゆっくり動き出します。
どうか、あたたかく見守って下さると嬉しいです。



※写真は、いつかのハロウィンと、一人暮らし始めたての時、ダイニングテーブルの組み立てを愛美理さんが手伝いに来てくれた時のもの。(ひとりぼっちって上に書いたけど、いつも助けてもらってますね)

須田マドカ


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