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「親の会」と後悔 前編

障がい児の母です

突然だが、私の4歳の娘にはダウン症がある。

この「ダウン症がある」という言い方に違和感を覚える方もいるかも知れない。私も当事者になるまでピンとこなかった。

が、「この子、ダウン症児です」というのと、「この子にはダウン症があるのです」というのでは、全然ニュアンスが違うのだ。

前者は「ダウン症」というラベリングが人格を凌駕している感じ。後者では、あくまで「ダウン症」というアクセサリーがくっついているという感じ、なのだ。当人たちにとっては。

いや、私ごときがすべてのダウン症児者、そしてその保護者達を代表して価値観を代弁すべきではないか。

告知の衝撃、しかし、我が子は可愛い

人生の中でダウン症のある人々があまり身近にいなかった方はダウン症について、どのようなイメージを持たれるだろう?

特徴的な風貌があるので、あの丸い顔、釣り目、猫背、ぽっちゃり体系をイメージされる方も多いのではないだろうか。かくいう私も、我が子にダウン症があると分かった瞬間に頭に浮かんだイメージは、みなさんが頭に思い描いている姿とさほど変わりなかったように思う。

「ああ、将来、我が子はああなるのか…。」

失礼な話ながら、愕然とした。

しかし、負け惜しみではないが、現在の我が子は大変可愛い。おそらく、他の方から見れば特徴的な顔立ちではあるのだろうけれど、親バカが過ぎて見慣れたのか、「やだ、うちの子、もしかしてダウン症って分からないんじゃない?!」とか思っちゃったりもする。

いや、冷静に写真を眺めれば明らかにダウン症のお顔なのだけれど…。

天使・・・?しかし、それはどうか

よく「ダウン症の子どもは天使のようだ」と言われる。言われるらしい。

でも、直接「あらー、天使ですねー」などと声をかけられたことはない。あれは都市伝説なのなのだろうか?

確かに、同じ年齢の子供に比べておとなしい(筋肉のハリが緩く身体を動かすこと1つをとっても健常児に比べ体力を消耗しやすいため、動かない)し、ニコニコ笑っている子も多い。

我が子も新生児期は寝ぐずりもせず(泣く体力を使うくらいならと言わんばかりに、眠けりゃ寝る)、あやせば100%笑う、それはそれは手のかからない子だった。そりゃ可愛くうつるのも無理はないでしょう?

しかしだ、周りの子が聞きわけを覚えてくるあたりで遅まきながら自我の芽生え→イヤイヤ期を迎える子も多い。

発語が上手くできず、言葉によるコミュニケーションが難しいせいで本人もイラつく、脱走するなどの長い怪獣期が来るのだ。おそらく、子どもの頃からダウン症児に対して苦手意識や恐怖感などを持った方は、こういった怪獣ダウン氏に遭遇してしまったのではないだろうか?

いや、あなたや他の子ども達にもそういった怪獣期はおそらくあったのですよ。ただ、それはあなたのそれが早く来ていたから記憶に残っていないだけ。

子どもの記憶というのは、本人が理知的な思考ができるようになって以降のものしか残っていかない、と何かの本で読んだことがある。一歩先いく同級生たちは早々と自分が怪獣だった頃の記憶など捨て去り、かわりに遅れてやってきた奇怪な子どもとして記憶に残りがちなのかな、と思う。(いや、実際はそれだけが理由でない場合もあるけれど。)

一方、そういったトラブルのないお子さんもいるようだし、我が子のイヤイヤもおとなしめかと思う。

しかし、ここで結論だが、ダウン症児だから無条件に天使、などということはない。健常の子どもと同じ、それはその子どものキャラクターによる。

不本意だった「親の会」入会

私の子どもは保育園に通っている。だが、同じ保育園内に他にダウン症を持ったお子さんは、いない。

では、なぜ、上記のようにいろいろなパターンのお子さんがいることを知っているのか?

それは、私の交友関係が広いからでは、決してない。

私は自分の生まれ故郷ではない場所で暮らしている。幼少期からの知り合いは皆無。それに加え、私はとんでもないコミュ障を患っている。平たくいうと、人間が、そして更に悪いことには同年代の母親という人種が一番苦手なのだ。4歳の娘には年の離れた姉がいるが、姉の子育て時には極力ママ社会には関わりを持たずにやり過ごしてきた。

それが、娘の疾患を知り、一念発起してダウン症を持つ子ども達がいる保護者で結成された「親の会」に入会した。上記の情報はその「親の会」を通じて知り得たものだ。

母親コミュニティー嫌いのコミュ障主婦が、何故、そんなものに入ったかと言うと、答えは1つ。当時、障がい児をどう育てたら良いのか、有用な情報をくれるところがなかったからだ。

療育情報が欲しくて質問した保健師からは的外れな回答を、手当について質問した市役所の窓口では不親切さと要領の得なさを団子にして丸めたような対応を、病院では子どもの体調などお構いなしの検査の日々を・・・くらって、もうヘトヘトだった。

誰か!この場所でこの子をそれなりに育てるにはどうすればいいですかぁぁぁぁぁぁ?

そんなとき、たまたまそこにいた小学生のダウン症を持つ女の子のお母さんに「あのぅ・・・」と話しかけたときは、まさに追い詰められてヤケクソ状態だったのだろう。

そのお母さんから件の「親の会」を紹介され、入会することになるのだ。そう、情報を得るためだけに。交流とか、そんなん求めてない。

しかし、この選択に後々、後悔することになる。


いつかに続く。

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