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【詩?】歌を作るとき

歌は孤独なものではないけど、歌を作ることは孤独だ。

歌は孤独なものではない。人間と違って、一つの歌は無限の人の時間に共存できる。歌が自分の口を離れて自由に人びとの想像を尋ねているのを見ると、頼もしくなる。しかし、そういう歌を作ることはあまりにも孤独な作業だ。

優れた歌を歌う人たちは、防壁の中で歌をつくっている。自分が最も心打たれた歌で自分を囲み、それが世界のすべてだと信じて歌の原型を心の中に育てていく。それは現実でありながら夢と同じくらい繊細だから、平凡な人の歌はすぐに壊れてしまう。
自分の夢に出てくるような世界の外で優れた歌を歌うひとたちが現れる。そういう人は尊敬するべきだけど、自ら歌を生み出したいなら、その歌には聞き耳を立てないようにするべきだと思う。自分の防壁のなかから、優れた歌声の人たちの世界に渡っていくと、その世界との間に、直線的な距離を妄想してしまうからだ。

想像力と理性は、自分の感じたものからしか歌を生み出せない。感じたものは有限で、生み出される歌は無限だ。それでも、歌は感じたものの記憶が洗練され、多くなるほど強くなる。少しでも感傷や興奮を得たとき、木から枝が伸びるように、精神はより広く、高い場所を占める。歌を作るには、これを繰り返すことがまず最初になければならないと思う。


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