東京土産

「その栞は本を買った時に貰ったからあげる」

東京から帰った娘から渡された栞の絵を見て言いました。
「お母さんはこういう絵は好きだなぁ。何故かな」
しばらく絵を見て思い出しました。

趣味で絵を書いていた祖父の絵は「南画」でした。

娘が神保町の中国の専門書店で頂いた栞は、祖父が書いていた絵に似ていました。

栞を見る私は、小学校低学年に戻ります。

父の実家の2階の祖父の部屋は、墨の匂いと書き書けの絵があって、窓から電車と遠くには海が見えました。

あの頃は遠い昔のはずなのに、今の私はあの窓から、青い空と穏やかにきらめく海を見ています。遠くから電車の音も聞こえます。
もうすぐ電車が見えるはず。

私は、あの窓からの景色が大好きでした。

東京土産が、小学生の私と祖父を連れて来てくれました。

ありがとうございました。
また明日。

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